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2014.03.27 Thursday

政府資料「放射線リスクに関する基礎的情報」の問題点  山田耕作

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    2014年3月

    政府資料「放射線リスクに関する基礎的情報」の問題点
    山田耕作(kosakuyamadaアットマークyahoo.co.jp)

    山田耕作_政府資料「放射線リスクに関する基礎的情報」の問題点 (22ページ,425KB,pdf)

    目次
    第1章 はじめに
    第2章 放射線被曝をめぐる争点
    第3章 「基礎情報」の問題点‐住民の健康と命を犠牲にするリスク政策
        (以下「放射線リスクに関する基礎的情報」の節に沿っている)
        0節 本資料の位置づけ
        1節 空間線量の経年変化
        2節 事故直後の外部被曝の状況
        3節 個人線量計における外部被曝の状況
        4節 初期の内部被曝の状況
        5節 甲状腺検査の状況
        6節 現在の内部被曝の状況(ホールボディカウンター検査)
        7節 食品中の放射性物質から受ける内部被曝の推計
        8節 各種環境モニタリングの実施状況
        9節 WHO, UNSCEARの評価
        10節 身の回りの放射線
        11節 日常生活における放射線被曝
        12節 世界の自然放射線の状況と健康影響
        13節 放射線の健康への影響
        14節 放射線防護を講じる際のICRPの基本的考え方
        15節 今回の原子力災害に対する我が国の対応
        (参考2)チェルノブイリ原発事故との比較
        用語解説
          外部被曝と内部被曝
          確定的影響と確率的影響
          放射線によるDNAの損傷と修復
    第4章 「基礎情報」のその他の問題点
     1.予防原則の無視
     2.リスク・ベネフィット論は強者の論理
     3.国際的権威ではなく、被害者の立場で被曝の真実を記述すべきである
     4.閾値と集団線量
     5.疫学の軽視や無視
     6.低線量被曝における重大な被害
     7.低線量被曝の甚大な被害と食品の厳格な管理の必要性
    第5章 おわりに
    参考文献
    追記 ブログ「東京電力原発事故、その恐るべき健康被害の全貌−Googleトレンドは嘘をつかない−」


    第1章 はじめに
      「放射線リスクに関する基磯的情報」1) (以下「基礎情報」と呼ぶ)は政府の内閣府をはじめ10の関係省庁の協力によって作成されたものである。福島原発事故後3年を経た現在、政府は年間20ミリシーベルト以下の被曝量の汚染地への住民の帰還を進めている。その際、高線量の汚染地でも住民が被曝量を自己管理して被曝を個人の努力で減らすよう指導している。これは政府と東電の責任を住民個人に転嫁し、住民の被曝の犠牲によって帰還を進め、被害の賠償責任を逃れるための政策である。その政策を進めるために、この「基本情報」を住民の被曝の危険性と被害を隠ぺいするための手段として利用しようとしている。
      この「基礎情報」は56名もの放射線に関する学会の権威・有識者の協力のもとに作成された。しかし、その内容はチェルノブイリで見いだされた心血管系や生殖系の被害や免疫力の低下などの広範な被害を無視し、被曝の被害を癌と遺伝的影響に限定し、しかもそれを過小に評価する危険な「情報」である。この「基本情報」の作成者の行為は私には子供や住民をだまして被曝の脅威にさらす危険な行為のように見える。

    第2章 放射線被曝をめぐる争点
      政府の「基礎情報」の議論に入る前に放射線被曝をめぐる国際的な論争の現状を述べておく必要がある。なぜなら被曝の評価は原子力に関する国際問題における重要な争点であるからである。
      歴史が示しているように、被曝評価をめぐる論争は国際放射線防護委員会ICRP創設の1950年以来続けられている。この年、放射線被曝の職業病防止の科学者の組織「国際X線及びラジウム防護諮問委員会」IXRPCから、核兵器開発のマンハッタン計画に参加したアメリカ、イギリス、カナダなどの原子力開発推進者を中心とする国際的協調組織であるICRPに変えられた。この設立経緯から推測されるように、ICRPは原子力開発が前提となっており、人類の幸福と健康から見た原発そのものの是非はその検討課題に含まれていない。国連の安全保障理事会の下にあって強い権限を持っている国際原子力機関IAEAは、このようなICRPの勧告を原子力利用における安全基準として採用している。
      しかし最近では、このICRP勧告のみに基づく考え方と、それは時代遅れであるとしてチェルノブイリ事故などで発見された新しい内容を加える考え方とが鋭く対立している。国際原子力機関IAEAやICRPがチェルノブイリ事故の被害として甲状腺がんのみを認め、低線量被曝を不当に評価し、他の健康の破壊を一切無視している姿勢が批判されているのである。さらに,IAEAが世界保健機関WHOと協定を結び、IAEAの同意なしにWHOが情報を開示できないことになっている。(「国際原子力機関と世界保健機関は、提供された情報の守秘性を保つために、ある種の制限措置を取らざるを得ない場合があることを認める」WHA 12−40」)。最近の新聞報道によれば福島県と福井県の両県とIAEAの間にも情報の公開に関して同意が必要との協定が結ばれたとのことである。なぜ、IAEAは情報の公開を恐れるのか。なぜ、世界の人々がIAEAから独立したWHOを求めているのか。
      A.V.ヤブロコフらの「チェルノブイリ被害の全貌」のまえがきでディミトロ・M・グロジンスキー教授(ウクライナ国立放射線防護委員会委員長)は次のように述べている。2) 
     「立場が両極端に分かれてしまったために、低線量被曝が引き起こす放射線学・放射生物学的現象について、客観的かつ包括的な研究を系統立てて行い、それによって起こりうる悪影響を予測し、その悪影響から可能な限り住民を守るための適切な対策を取る代わりに、原子力推進派は実際の放射性物質の放出量や放射線量、被害を受けた人々の罹病率に関するデータを統制し始めた。放射線に関連する疾患が増加して隠し切れなくなると、国を挙げて怖がった結果こうなったと説明して片付けようとした。と同時に、現代の放射線生物学の概念のいくつかが突然変更された。例えば電離放射線と細胞分子構造との間の主な相互作用の性質に関する基礎的な知見に反し、『閾値のない直線的効果モデル』を否定するキャンペーンが始まった。」
     「この二極化は、チェルノブイリのメルトダウンから20年を迎えた2006年に頂点に達した。このころには、何百万人もの人々の健康状態が悪化し、生活の質も低下していた。2006年4月、ウクライナのキエフで、2つの国際会議があまり離れていない会場で開催された。一方の主催者は原子力推進派、もう一方の主催者は、チェルノブイリ大惨事の被害者が現実にどのような健康状態にあるかに危機感をつのらせる多くの国際組織だった。前者の会議は、その恐ろしく楽観的な立場に、当事者であるウクライナが異を唱え、今日まで公式な成果文書の作成に至っていない。後者の会議は、広大な地域の放射能汚染が住民に明かに悪影響を及ぼしているという点で一致し、ヨーロッパ諸国では、この先何年にもわたって放射線による疾患のリスクは増大したまま減少することはないと予測した。」
      このような原発推進派の動きを世界的な「原発マフィア」とか「原発ロビー」の活動として警告する人が多い(例えばコリン・コバヤシ著「国際原子力ロビーの犯罪」以文社、2013年)。そしてヨーロッパの緑の党を中心として、欧州放射線リスク委員会ECRRが組織されたのである。初代議長は故アリス・スチュワートであり、故ロザリー・バーテルもメンバーとして参加していた。また、2012年6月、本会とともに、広島、京都、東京で講演し、放影研を訪れ討論した、インゲ・シュミッツ=フォイエルハーケ女史は、ECRRの現議長である。
      現在、政府や福島県は20ミリシーベルト以下の被曝なら容認できるとして、個人の測定値に基づき自己責任として放射性物質による汚染地への帰還を促進しようとしている。これはチェルノブイリ事故で警告されている汚染地における長期被曝を容認し、拡大することになる。
      最近、IAEAなど国際的な原子力推進グループは「放射線と甲状腺がんに関する国際ワークショップ」(2014年2月21~23日)を開き、福島県で観測された74人に上る子供の甲状腺がんとその疑いの多発と福島原発事故との関係を否定した。これはこの「基礎情報」の「放射線による健康影響があるとは考えにくい」という主張に一致するがはたして正しい科学的な結論であろうか。私は以下に述べるように重大な誤りと考える。

    第3章「基礎情報」の問題点‐住民の健康と命を犠牲にするリスク政策
      以下日本政府の「基礎情報」の節に沿って批判的に検討する。青色斜体部分が引用である。
          0節 本資料の位置づけ
      本資料は、福島における放射線の状況や、放射線の健康リスクを考えるための知識・科学的知見、被ばく低減にあたっての国際的・専門的な考えなどの基礎的な情報をコンパクトにまとめたものです。
      この「基本情報」の立場はIAEAやICRPなど原子力推進の立場での情報である。予防原則が無視されているなど、被曝者の立場から客観的真理を述べたものではない。
      また、住民の安全上不可欠である事故全体の現状とその原因、さらに事故の収束の見通しが書かれていない。地震による鉄塔や機器の破壊と津波といずれが事故の本当の原因であったのか。メルトした溶融燃料はどのような状態にあり、その処理は可能なのか。溶けた核燃料が地下150メートルの毎日3000トンの地下水流に到達する心配はないのか。3) いつごろ溶融した炉心の処理は完了するのか。4号炉の燃料プールは余震に耐えられるのか。毎時1000万ベクレル放出されていると言われた大気への放出はどうなったのか。汚染水の漏出の現状と対策は大丈夫か。このような基本的な事故原発の状況に関する情報なしに帰還は可能なのか。これらの問題は福島での被曝問題のもっとも基礎的情報でもある。

          1節 空間線量の経年変化
      P1  この期間における放射性セシウムの物理的半減期から計算した減衰は34%であることから、残りの約13%は、風雨などの自然要因等により減少しているものと考えられます。
      この自然要因による減少はセシウムなどが雨水や風と共に飛ばされ川や湖に流れ、最後は海の汚染へとつながるものである。除染の効果がほとんどないことなど、総合的な考察が不十分である。文部科学省によるモニタリングポストは時には実態の5から6割の過小な数値を与えることが報告されている。また、空間線量から地上の汚染度を求める時、通常より小さい地面の汚染度を与えているという指摘がある。

          2節 事故直後の外部被曝の状況
      P2  福島県の県民健康管理調査検討委員会では「放射線による健康影響があるとは考えにくい」と評価しています。
      これは事実で否定されている。福島県の子どもの甲状腺がんの調査結果が発表され、東京を含めて心配が東北・関東に拡大しているからである。この事実一つをもってしても「基礎情報」の楽観的な見方は否定されているのである。
      2014年2月7日の発表によると事故時福島県の子供25.4万人の調査で子どもの甲状腺がんとその疑いを含めて、74人となっている。これは10万人当たり29人に相当し、通常100万人当たり数人とされる子どもの甲状腺がんの発生率に比べ明らかに多発である。発生率も福島県内で地域差があり、それは福島原発事故による汚染地図とよく相関する。このように明らかな放射線による健康影響があるので政府の「基本情報」の評価は間違っている。「基礎情報」の言うスクリーニング効果では5倍にもなる発生率の地域差とその分布を説明できない。疫学の立場からも津田敏秀氏は有病期間を考えてもブレイク・アウト(多発)としている。4) 福島県は0.03%、つまり10万人に30人の発症率と発表している。ベラルーシのピーク時の発症率が10万人当たり約10人であるから、30人は3倍の発症率である。しかも福島はピーク時ではなく3年以内で発生している。福島は始まったばかりである。
      P2に掲載されている第14回検討委員会の県民51.5万人の外部被曝線量調査でも区分の最大値をとると集団線量はおよそ640人・シーベルトになり、ICRPのリスク評価で32人、より正確な評価では64人のがん死が発生する。影響があるのである。

          3節 個人線量計における外部被曝の状況
      P3  年間個人線量(平均)の値は、0.1ミリシーベルトから1.4ミリシーベルトとなっています。   
      県民200万人が1ミリシーベルト被曝すると2000人・シーベルトの集団線量となり、200人のがん死となる。年間であるから少しずつ減衰するとしても毎年これだけのがん死をもたらす被曝は決して少なくはない。

          4節 初期の内部被曝の状況
      P4  小児を対象に甲状腺の簡易測定を行ったところ、調査対象となった1080人が、原子力安全委員会がスクリーニングレベルとしている毎時0.2マイクロシーベルトを下回っていました。
      毎時0.2マイクロシーベルトは1歳児の甲状腺等価線量100ミリシーベルトに相当するということである。この100ミリシーベルトの基準が高すぎるから、これを下回っていても安全ではない。このように内部被曝はシーベルトに換算するとき等価線量係数の不確かさがあり、リスクの過小評価を伴う。そもそも臓器を均質物体で置き換えるICRPの内部被曝の評価は正しくないのである。臓器はそれぞれ重要な機能をもち、臓器を構成する細胞も細胞膜、核、ミトコンドリア等、生きた機能をもち、有機的・統一的な運動をしているのである。このような生体としての機能を破壊する放射線の効果を無視しては正しくその被害を評価できないのである。特に進化の過程を経ない人工の放射性物質は臓器に取り込まれ、局所的に継続的に放射線を浴びせることで外部被曝にない危険性を持つのである。現実に子どもの甲状腺がんが多発している事実は県の簡易測定とそれに基づく解析の信頼性を否定しているのである。一方、甲状腺がんの検査では、同じ程度の精度の装置で、甲状腺がんの発生率の地域差が3倍から5倍もあるからスクリーニング効果では説明できない。この多発の地域差を説明するものとしては、放射線被ばくの地域分布以外に考えられない。4)

          5節 甲状腺検査の状況
      P6  このうち、75人の方が「悪性ないし悪性疑い」と診断され、うち33人ががん、1人が良性結節と診断されました。
      P6  東京電力福島第一原発周辺地域の子供たちの甲状腺被曝は総じて少ないこと、放射線被曝後の小児甲状腺がんの潜伏期間は最短でも4〜5年とされていることなどから考えて、「事故後2年出の現在の症例は、東京電力福島第一原発事故の影響によるとは考えにくい」とされています。
      この評価は間違いである。最短期間が4年というのは正確ではない。チェルノブイリでは事故後の4,5年内は超音波診断装置がなく触診で診察していたとのことである。しかも甲状腺がんが発見されても発生が早すぎるとして否定されたとのことである。しかし、現在、原発事故以外に甲状腺がんの多発と福島県内の地域差を説明できる要因がない。

          6節 現在の内部被曝の状況(ホールボディカウンター検査)
      P7  2013年12月末までに約18万人に対して検査を実施したところ、99.99%の方が預託実効線量で1ミリシーベルト未満と推計された。福島県では、検査を受けた全ての方の内部被曝線量は、「健康に影響が及ぶ数値ではありません。」と説明しています。
      上記のようなICRPに基づく内部被曝の評価方法に疑問がある。内部被曝はシーベルトでなく直接ベクレルで比較すべきである。なぜなら、ベクレルからシーベルトに換算するとき、被曝の局所性を無視し、臓器を一様均質物体として求めた換算係数を用いるため被曝被害が現実的でなく、過小に評価されてしまうのである。内部被曝はどんなに低くても危険であり、1ミリシーベルト未満でも安全ということはない。これは欧州リスク委員会ECRRの言うとおりである。現実に甲状腺がんが発生しているのが何よりの証拠である。政府は自らの責任で「健康に影響が及ばない」と言わず、福島県に言わせ、それを引用している。また放射性セシウムの測定において尿検査の方が精度がよいと言われている。なぜ、信頼性の低いホールボディカウンターのデータのみで議論するのだろうか。

          7節 食品中の放射性物質から受ける内部被曝の推計
      P8  2012年9月から10月にかけて全国15地域で実際に流通している食品を調査した結果、食品中の放射性セシウムから受ける預託実効線量の推計値は年間0.0009〜0.0057ミリシーベルトでありました。…これは、食品中の放射性物質の基準値の設定根拠となった預託実効線量の上限値(年間1ミリシーベルト)や天然由来の放射性カリウムからの預託実効線量の値(年間約0.2ミリシーベルト)と比べ極めて小さい値になっています。
      前述のように、実効線量係数を用いてシーベルトに換算したICRPの内部被曝評価の方法は信頼できない。それ故、低いシーベルト数であっても安全ではない。さらに上の記述は天然のカリウム40と人工の放射性物質セシウムをシーベルトに直して比較したものである。確かにカリウム40のシーベルトがセシウムに比べ30〜200倍くらい大きく見える。しかし、内部被曝に関してはこのような比較は意味がないのである。人工の放射性物質は各臓器に取り込まれ、継続的に局所的な被曝をもたらすので、体内を自由に移動するカリウム40に比べ格段に危険である。個々の元素の生体内における挙動をそれぞれの元素に基づいて議論しなければならない。ここでp27に巧みに入れられた誤解を誘発する註1が重要である。
      P27*1  放射性ヨウ素は甲状腺に、ストロンチウムは骨に蓄積しやすい性質がある。セシウムには特定の臓器に蓄積する性質はない。
      「セシウムは特定の臓器に蓄積する性質はない」というとカリウム40と同様に臓器に蓄積されないとも取れる表現であるが、ほとんどの臓器に蓄積するのである。甲状腺、脾臓、心臓、腎臓、肝臓、脳,骨格筋などそれぞれに差異をもって蓄積する。それ故、「基本情報」は「特定の臓器に蓄積する性質はない」という一般に臓器に蓄積する性質がないかのように誤解されるあいまいな表現を用いているのである。バンダジェフスキーによると放射性セシウムは脾臓や甲状腺には特に取り込まれ、蓄積するとのことである。これはチェルノブイリ事故で内部被曝して死亡した約130名の子供と大人を病理解剖して発見された重要な結論である。以前から、市川定夫氏によって進化の立場から指摘されてきたことが実際に病理解剖によって確認されたのである。5,6) 鷲谷いずみ氏も進化を経たカリウム40と進化を経ていない人工の放射性物質を同列に置くことに警告を発している。生物の発生以来、体内に入るカリウム40を蓄積しないようスルスルと移動させるカリウムチャネルなどの機構を通じて生き残ってきた生物のみが現在生存しているのである。もし臓器に放射性元素を取り込み、絶えず継続的な放射線の被曝にさらされたならその生物は絶滅しただろうと市川氏は主張している。それ故、放射性セシウムを臓器に取り込むことは進化の過程で淘汰・絶滅させられる道なのである。ついでに人類は魚から進化したことを考えると、ビキニの水爆実験で見られたように放射性物質が濃縮されて、特に魚の内臓に蓄積していたことが思い出される。魚なら臓器を取り除いて調理できるが、人間の臓器に蓄積すると大変である。7)
      この臓器への蓄積は先に述べたように、バンダジェフスキーによって被曝被害によって死亡した子供や大人を病理解剖して確認されたことである。彼は死亡原因とセシウムの蓄積部位に相関があることを示している。これらの人工の放射性物質の取り込みによっておこる病気を「長寿命放射性元素取り込み症候群」と名付けて警告を続けている。例えば体重1キロ当たり20ベクレルの蓄積によって心電図に異常がでる。バンダジェフスキーはじめベラルーシやウクライナやロシアの医師たちは、この異常は時には心臓発作や心停止に導き、急死する人が出るといって警告している。このような住民の健康にかかわる重要な知見を政府は意識的に無視している。私は2度も京都での食品基準の説明会で質問した。そのたび厚生労働省の担当者はバンダジェフスキーの文献は被曝線量が不明なので採用しないと回答した。しかし、臓器ごとの1キロ当たりのベクレル数が示されており、臓器に取り込まれていることは病理解剖の写真で示されている明確な事実である。住民の健康を何と考えているのか。
      A.Romanenko達のウクライナにおける膀胱がんの発生の研究において、1リットル当たりの尿に50ベクレル含まれるカリウム40によってではなく、数ベクレルから6ベクレル含まれる放射性セシウムに依って膀胱がんの発生が支配されることが示されている。この事実も政府は無視して住民を被曝の危険にさらしているのである。8)
      ここでついでながら物理学者たちの同じ誤りを指摘しておくのが有用であると思われる。田崎晴明氏と菊池誠氏のそれぞれの著書である。20,21) カリウム40を基準として放射性セシウムの内部被曝を議論して安全としているのである。市川定夫氏の環境論などで繰り返し警告されたことを学ばず、人命にかかわる重要な誤りを主張する解説書を書くことは許されないことである。

          8節 各種環境モニタリングの実施状況
      政府文科省のモニタリングポストは実際の住宅地より4から5割小さい値が出たという報告もある。住民の信頼できる測定が必要である。

          9節 WHO, UNSCEARの評価
      P10  2013年2月WHO公表。被曝線量が最も高かった地域の外側では、福島県においても、癌の罹患のリスクの増加は小さく、がん発生の自然のばらつきを超える発生は予測されない。
      P10  2013年10月の国連総会に提出されたUNSCEARの活動報告において、福島第一原発事故の放射線被曝による急性の健康影響はなく、また一般住民や大多数の原発従事者において、将来にも被曝による健康影響の増加が認められる見込みはない。
      現実に子供の甲状腺がんが多発しているのであるから、WHO、UNSCEARや「基礎情報」の予想は根本的に外れたのである。労働者においても1.5万人が被曝5ミリシーベルトを超えたということである。そのうち173人が100ミリシーベルトを超えた。これらだけでも最低9人のがん死が予想される。東京電力や政府は労働者の被曝のデータを発表しておきながら、「基礎情報」では被曝を否定して、住民をだましているのである。ここでも文章は微妙な書き方であることに注意しよう。「一般住民や大多数の原発従事者において、将来にも被曝による健康影響の増加が認められる見込みはない」と書き、「健康影響の増加がない」とは言っていないのである。「認められる見込みはない」であるから、政府や県が調査しなければ、また発表しなければ市民には認められないことになるのである。政府や県は被害の増加を知っているので、「増加しない」と書くのではなく、注意深く「認められる見込みはない」と書いているのではないだろうか。

          10節 身の回りの放射線
      避けようのない宇宙や地面からの自然放射線や個人の病気治療のための医療放射線と原発という住民には何の利益もない被曝を区別しないで比較している。これはいつもながら被曝を押し付ける手法である。

          11節 日常生活における放射線被曝
      これらの章は放射線に対する理解を深め安心を与えるために記載されているようである。

          12節 世界の自然放射線の状況と健康影響
      P13  インドのケララ地方の疫学調査(長期被曝の例)では、総線量500ミリシーベルトを超える集団があっても、発がんリスクの増加は認められないと報告されています。また、放射線を長期間にわたって継続的に受けた場合は、短時間で同じ線量の放射線を受けた場合よりも健康影響が小さいと推定されており、線量・線量率効果と言います。
      この点について市川定夫氏の環境学第3版p204で次のように記述している。「アメリカのメリクル博士夫妻はコロラド州の自然放射線レベルの高い地点で、インドのナヤール博士らはケララ州の自然放射線レベルの高い地域の土壌を用いて、それぞれムラサキツユクサの実験を行い、ともに突然変異頻度が自然放射線レベルに対応して上昇することを確かめ、それぞれ1965年と70年に報告している。」放射線の影響はあるのである。「基本情報」の記述は線量・線量率効果も一面的で正しく真理を伝えていない。
      「基本情報」の言う線量効果に反する重要な事実として、放射線によって発生した活性酸素によって細胞膜が継続的に破壊されるペトカウ効果が知られている。9) 低線量域の方が、線量効果が高いとするペトカウ効果は、被曝の影響を考える上で無視できない重要な現象である。これはペトカウが発見した実験事実であり、放射線で発生した活性酸素が高線量であると互いに相殺し、効果が小さくなるので、低線量の方が、活性酸素が長く生き残り、細胞膜の破壊効果が大きいという説明がなされている。また、活性酸素は細胞の中の脆弱な部分であるミトコンドリアを破壊し、免疫力や体力を失わせることが明らかになってきた。ICRPや政府は依然として、放斜線によって生じた活性酸素の効果を無視しているので低線量の継続的な被害を正しく考慮できないのである。
      ケララ州では染色体異常が多いという報告もある。このように「基本情報」は古い知識を一面的に繰り返し、新しい知見を取り入れて総合的に判断しようとしないのである。

          13節 放射線の健康への影響
      P14  広島・長崎の原爆被爆者12万人規模の疫学調査では、原爆による放射線の被曝線量が100ないし200ミリシーベルトを超えるあたりから、被曝線量が増えるに従ってがんで死亡するリスクが増えることが知られています。一方、それ以下の領域では、得られたデータの統計的解析からは放射線の被曝によってリスクが増加しているかどうか確認できません。
      P14  100ミリシーベルト以下の被曝線量では、被曝による発がんリスクは生活環境中の他の要因によって隠れてしまうほど小さいため、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しいということが国際的な認識となっています。
      我が国政府はいつも「100ミリシーベルトよりも少ない被曝で癌が増える」ということは証明がないという主張をしている。これは世界からも、最近の知見からも外れたデマに近い誤りである。少なくとも、この表現は不正確である。広島・長崎の結果は100ミリシーベルト以下で「統計的に有意でない」ということであって、癌が発生しないということではない。危険率(偶然に起こる可能性の確率)Pが信頼度の基準とされる0.05より大きいということであって、100ミリシーベルト以下の被曝量でも癌死数が被曝ゼロとされる対照群(この人たちも内部被曝していた)より増加しているのである。被曝量の値の5〜100ミリシーベルトでは危険率P=0.15で、5〜50ミリシーベルトでP=0.3であり(Brenner et al PNAS 100、p13761)、信頼度が落ちるということである。
      津田敏秀氏は「福島について100ミリシーベルトを持ち出すことは、単に『統計的な有意差がない』事と『影響がないこと』を混同している。」、「福島では有意差が出る可能性が十分ある」としている。16) (津田著p96)。閾値をめぐる問題は被曝をめぐる本質的な問題であり、広島・長崎だけでなく調査を広げる必要があるのである。広島・長崎の被爆者調査でも若い時に低線量被曝した被爆者の死が最近多くなり、低線量被曝域が線形に近くなってきた(K.Ozasa et al Radi.Res.177,229、2012)。まだ、統計的に有意ではないが、小笹氏達も線形が最もふさわしいとしている。古くからあるJ.M.Gouldたちの原発周辺の乳がん死の研究を調べれば100ミリシーベルト以下でも被害が生じることは統計的に明らかであるにもかかわらず、「基礎情報」はそれにも言及していない。12,13) スチュワート(Alice Stewart)の妊婦のレントゲン検査による小児がんの被害の結果や遺伝的影響を考えれば単純な外部被曝による被曝線量に対するがん発生の線形依存性は明確ではないだろうか。ICRP2007年勧告も「約100ミリシーベルト以下の線量においては不確実性が伴うものの、癌の場合、疫学研究および実験的研究が放射線リスクの証拠を提供している。」としているのである。
      アリス・スチュワートは英国で1943年から1965年の間に生まれた1960万人の子供の疫学調査を行った。生まれてきて9歳までに小児がんで亡くなった1万3407人のこどもの母親について、妊娠時にX線照射を受けたかどうかを調べ、受けていない母親と比較した。妊娠中に受けたX線検査の回数から被曝線量を求め、胎児の小児がん死との相関を調べた。13) 2.5ミリシーベルトから統計的に有意な直線関係が得られた。妊婦の被曝は小児がん死をもたらすだけでない。新生児死亡や乳児死亡の危険が高められるのである。 
      2014年2月18日の京都新聞によれば2013年に診断での放射線の影響を過去最大の規模で調べた結果が発表され、注目を集めた。オーストラリアで1985年年頭に0〜19歳だった約1094万人を2007年末まで追跡。コンピューター断層撮影(CT)検査1回の被曝量は推計4.5ミリシーベルト、検査回数は約8割が1回だった。検査を受けた約68万人のうち3150人(9.5年間追跡)、受けなかった約1026万人では5万7524人にがんが発症(17.3年間追跡)。受けた人の発症リスクは受けなかった人の1.24倍だった。がんの可能性があり検査を受けた人は極力除いた(BMJ 2013;346:f2360)
      ここでも田崎氏と菊池氏はそれぞれの著書で妊婦が100ミリシーベルト以下の被曝なら、広島・長崎の調査を根拠に胎児にも被害はないと述べている。20,21) 現在、スチュワートの研究の結果, 妊婦の被曝を避けるよう正しい対応がなされているのを、100ミリシーベルト以下は無害であるかのような混乱を与える危険な解説である。チェルノブイリでは異常出産の増加が報告され、多指症などの増加が目立つようである。福島事故での被害を拡大する恐れのある重大な誤りであり、即修正されるべきである。11)
    20140326_acsir_yamadakosaku_fig01


          14節 放射線防護を講じる際のICRPの基本的考え方
      P15  ICRPでは、これまでの原爆被爆者などの調査結果を基に、LNTモデルを用い、線量・線量率効果係数を2として、線量が低い環境で長時間被曝した場合の生涯においてがんで死亡するリスクの増加分を1シーベルト当たり約5%であると推定しています。
      ICRPは低線量長期被曝のリスクを広島・長崎のリスク係数の半分にしているが、ペトカウ効果は逆に低線量長期被曝の危険性を示している。また、原発労働者の発がん死亡リスクからも1人・シーベルト当たり⒑%を支持している。それ故、ICRPの5%は根拠のない過小評価である。
      P16  回復や復旧の時期(現存被ばく状況)に入ると、公衆被曝を通常と考えられるレベルに近いかあるいは同等のレベルまで引き下げるため、年間1〜20ミリシーベルトの範囲の下方部分から、状況に応じて適当な「参考レベル」を選択し、長期目標として参考レベルを年間1ミリシーベルトとすることとされています。
      これでは子どもや老人を含む住民を帰還させ、住まわせることはできない。なぜなら「現存被曝状況」であり、通常の状態に比べ、線量が高いからである。これを帰還準備区域とすることはともかく、帰還区域とすることは健康で文化的な生活を保障した憲法に反することである。人が住むためには少なくとも通常の年間1ミリシーベルト以下でなければならない。「現存被ばく状況」などと言って政府や東電の都合や県の判断で個人の「健康に生きる」という基本的な人権が侵害されてはならない。さらに未来世代への影響を考えると汚染レベルの高いところに住むべきではない。
      これに関連してヤマトシジミ(蝶)の内部被曝の実験は重要である(Hiyama, A., Nohara, C. et al. The biological impacts of Fukushima nuclear accident on the pale grass blue butterfly. Sci. Rep. 2, 570-579 (2012).。沖縄の琉球大学で飼育されているヤマトシジミに福島市、飯館村、対照群として山口県宇部市を選び、放射性物質による汚染度が異なる各地から採取した餌であるカタバミを与える。汚染度に対応して奇形の子供が生まれる。ヤマトシジミは一年間で5から7回世代交代するが奇形が幾世代も増幅して継承されるという結果である。これは食事を通じての内部被曝による生殖被害を示している。

          15節 今回の原子力災害に対する我が国の対応
      P17  政府は、東京電力福島第一原発事故において、国際放射線防護委員会(ICRP)の緊急時被ばく状況における放射線防護の「参考レベル」のバンド(年間20〜100ミリシーベルト)等を考慮し、このうち最も厳しい値に相当する年間20ミリシーベルトを採用して、避難指示を行いました。
      そもそも誰が緊急被ばく状況を作り出したのか。東電と政府自身がこのような事態を引き起こしておきながら、最も厳しい年間20ミリシーベルトを適用したことを親切でもあるかのように記述している。これは逆に20ミリシーベルト以下には避難指示を出さないこと、20ミリ以下の被曝を容認しているのである。これはとんでもないことである。原発労働者の被曝線量の基準は1年で最大50ミリシーベルト、5年では100ミリシーベルト以下とし、通常年間20ミリシーベルトに制限しているのである。その労働者被曝の基準を子供や妊婦にまで当てはめて年間20ミリ.シーベルトとしているのである。ICRPの緊急時被ばく状況の「参考レベル」という極めて非人道的な基準を用いた議論である。3年もたった今、この緊急時被ばく状況の基準を適用すること自体許されることではない。それを適用して、その最低の被ばく基準と言ってごまかしているのである。従来、白血病などの労災認定の基準の線量が5ミリシーベルトである。住民の健康や命をどう考えているのだろうか。このような線量のところに学校を開校することは子供たちの将来の健康にとって大変心配なことである。
      「緊急被ばく状況」とか「現存被ばく状況」とかを考え、平常時よりも高い被曝を容認する政策は基本的人権に反する行為である。非常時だからと言って決して生命と健康を軽視することは正当化されない。基本的人権は不可侵の権利であり、むしろ、健康で文化的な生活をするという基本的人権の侵害が不可避となる事態なら、避難する権利を認め、国家と東電の責任で避難の物質的・経済的保障をすべて行うべきである。一般に戦争などの非常時を口実に基本的人権が侵害されることがあった。しかし、非常時こそ基本的人権が一層大切にされなければならない。その意味でICRPの非常時の政策は、原発や核兵器が人権の侵害を不可欠とする反動的な政策と不可分であることを示しているのである。
      P17  上記計算式では、‘睇被曝、∧射性物質の物理減衰やウェザリング効果を考慮していない。これは,砲茲訐量増加分と△砲茲訐量減少分が相殺していると仮定しているためである。
      これはとんでもない仮定である。内部被曝の理解が全く誤っている。ウェザリング効果とは風雨による自然減衰のことであり、これと物理減衰を合せたものが内部被曝に等しいというのである。これが人命や子供の将来を預かる国の責任ある立場の人がすることであろうか。メカニズムが全く異なるものを相殺させることができるだろうか。どんぶり勘定にも等しいことを科学者がやっているのである。政府側のリスク論の権威たちの内部被曝に対する無理解と軽視を示している。
      また、屋内での低減効果を考え、被曝量を低くしているが、個々の生活に依るので、安全側に見て24時間屋外にいても、子供のように地面に近くても、1ミリシーベルト以下になる環境にすべきである。
      P17  原子力発電所が冷温停止状態となった2011年12月以降、年間の被曝線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認された地域について、現存被ばく状況に移行したと判断し、「避難指示解除準備区域としました。この区域では当面の間は、引き続き避難指示が継続されますが、除染やインフラ復旧、雇用対策など復旧・復興のための支援策を迅速に実施し、住民の1日も早い復旧を目指しています。
      これは危険な政策である。帰還の放射線被曝基準が明確でないからである。1ミリシーベルトを明記し、それ以上は避難の権利が認められなければならない。子どもの教育・生活環境にも言及していない。あいまいなまま帰還させられる可能性が高い。後はこどもを含めて個人の責任で線量を下げるべきとされるのである。また、「冷温停止状態」となったといっているが「冷温停止」とは原発の機能は正常で停止し、常圧で温度が100度以下になることである。格納容器や圧力容器が破壊された状態に使うべき言葉でない。しかも、溶融した燃料は依然冷却中であり、どのような状態かもわからない。それ故、余震の絶えない現在、20ミリシーベルト以下が確実というが、その前提の事故現場の安全な処理と解決が問題である。
      P18  原子力規制委員会は、「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方」を取りまとめ、帰還後の住民の被曝線量の評価は、空間線量率からの推定ではなく、個人線量計を用いて測定する個人ごとの被曝線量を用いることを基本とすべきであるとしています。
      これは被曝の責任を個人に転嫁するものである。そもそも個人の行動によらず、放射線被曝が1ミリシーベルト以下である空間線量であることを国が確認し、保障すべきことである。この直前に「個々の住民の生活や行動によってばらつきがあることが確認されています。」と書いている。幼児まで含めて行動を調整できるはずがない。にもかかわらず、規制委員会は住民の健康を守るという自分の責任を個人に押し付ける無責任な態度をとっているのである。許されないことである。

          (参考2)チェルノブイリ原発事故との比較
      P21  チェルノブイリを福島と比較してヨウ素131が11.3倍、セシウム134が2.4倍、セシウム137が5.7倍、ストロンチウム90が57倍としている。プルトニウムは1万倍としている。
      これは通常の目安である福島事故の放出放射性物質量がチェルノブイリと同等で、福島事故は人口密度が高いので一層深刻であるという評価に比べ、たいへん小さく評価されているように思う。例えばノルウェー大気研究所のストールらはセシウム137に関して、福島事故はチェルノブイリ事故の放出量の約半分に相当するとしている(A.Stohl et.al Nature478.p435‐436、2011年10月27日号)8)。 ストールらが原発事故の再現結果に基づいて推定した放出キセノン133の量は 1.7×1019 ベクレル、セシウム137の量は 3.5×1016 ベクレルで、日本政府の見積もりよりキセノンが約1.5倍、セシウムが約2倍となった。キセノンの放出量はチェルノブイリより多い。ただし、ECRRのクリス・バスビーはストールらの用いたと推測される国連科学委員会のチェルノブイリのセシウム137の放出量の値 8.5x1016 ベクレルは原子炉の残存量の10倍近くであり、大きすぎるとして 3.8x1016 ベクレルを採用して、セシウム137の放出量を福島とチェルノブイリで同程度としている。10) 
      福島では3基の原発が炉心溶融し、放出されたキセノン、ヨウ素やセシウムの量を比べても「基礎情報」のようなことはとても言えないはずである。IAEAをはじめ「国際原子力マフィア」は福島事故以後チェルノブイリ事故の放出量を大きくした。10) これは福島事故を小さく見せるためであると思われる。「基礎情報」のような過小評価がベースにあれば住民を被曝から守るという政策が手抜きになる心配がある。住民も被曝への警戒を怠る心配がある。

    用語解説
         外部被曝と内部被曝
      P27*1  放射性ヨウ素は甲状腺に、ストロンチウムは骨に蓄積しやすい性質がある。セシウムは特定の臓器に蓄積する性質はない。
     これは誤りである。セシウムは様々な臓器に蓄積されるのでカリウム40に比べて危険性が格段に高い。
         確定的影響と確率的影響
      P33  確率的影響は、細胞の遺伝子が変異することで起こる影響で、がんや遺伝性影響といった障害がこれにあたります。
      DNAの損傷のみを問題として、放射線によって生じた活性酸素による細胞膜の破壊や放射線のホルモン作用への影響などを考慮していない。その結果、ペトカウ効果を無視している。これはICRPや「基本情報」による被曝の重大な過小評価である。
      P34  DNAを傷つける原因は…化学物質、活性酸素があります。
      活性酸素に言及しながらDNAの損傷に限定し、放射性物質によって生成される活性酸素による細胞膜などの破壊効果を考慮していない。これは心筋の損傷や様々の健康破壊をもたらす怖い現象である。
         放射線によるDNAの損傷と修復
      「基礎情報」は、欧州放射線リスク委員会ECRRなどICRPに批判的な見解は、ICRPが受け入れないので、科学者の一致を見ていないという口実の下に一切採用しない。これでは必然的に古いICRPの姿勢を踏襲したものにならざるを得ない。
      最近、明らかになった放射線による被害として、放射線による活性酸素の発生によって細胞膜が破壊され、さらに細胞の連鎖的な破壊によって心臓や腎臓など内臓が損傷されることがわかってきた(ペトカウ効果)。臓器に取り込まれ、蓄積し、継続的に放射線を放出する人工の放射性物質は極めて危険であることが明らかになってきた。それ故、先に述べたように、人工の放射性セシウムと臓器に蓄積されないでスルスル全身を移動する自然の放射性物質カリウム40とをベクレル数のみで比較して安全性を論じることは誤りである。
      細胞膜のK−チャネルは特異的にカリウムを通過させる構造を持ち、大きさの異なるナトリウムやセシウムは通過しにくい構造になっている。生物進化の結果であると考えられる。 この点はICRPが個々の臓器を一様均質物体として内部被曝を評価していることにより、内部被曝が過小に評価されているので、特に重要である。継続的で、局所的な被曝は修復中のDNAをさらに攻撃するなど、2重らせんを破壊しやすいことでも危険であると考えられる。直接放射線でDNAが被曝していない細胞の周囲の細胞が損傷されるバイスタンダー効果が見いだされ、警告されている。この効果や放射線被曝の影響で遺伝子の継続性が不安定になるゲノム不安定性も重要な効果であることが指摘されているが、「基礎情報」は無視している。被曝被害を過小評価する不十分な「基礎情報」である。
      体内の個々の人工の放射性物質の振舞はヘレン・カルディコット博士の言うようにほとんど理解されていない。膀胱がんの研究によれば多様な過程が絡み合って発生するようである。膀胱表皮に取り込まれた放射性セシウムの放射線によって生じた活性酸素が重要な役割を果たす。8)

    第4章.「基礎情報」のその他の問題点
     1.予防原則の無視
      ICRPの権威を利用している「基礎情報」はバンダジェフスキーやウクライナ政府の発表による「長寿命放射性元素体内取り込み症候群」を無視している。6,11)。 それ故、「基礎情報」の言う被曝被害はDNAの損傷に限られる。これは多数の死体を克明に調べ、血のにじむような苦労の結果ベラルーシやウクライナ、ロシアで明らかにされた医学的知見を切り捨てるものである。
      しかも、「基礎情報」のこのような態度は明らかに「予防原則」に反している。科学的に新しい知見が提出されたとき、完全な因果関係の証明がなされるまで待つと取り返しのつかない被害の拡大の可能性があるとき、「賢明なる回避」という公害問題の原則が提出され、「予防原則」と呼ばれる国際的な合意となっている。なぜか「基礎情報」はこのよく知られた原則を一貫して無視している。チェルノブイリでは年間1ミリシーベルト以上の被曝の心配のあるところでは避難の権利が認められている。住民が受ける平均実効線量が年間5ミリシーベルトを超える可能性がある地域では、住民は移住すべきとされている。ここに住んでいた住民は被害補償や社会的な支援を受ける権利がある。
      予防原則(Precautionary Principle):ある行為が人間の健康あるいは環境への脅威を引き起こす恐れがある時には、たとえ原因と結果の因果関係が科学的に十分に立証されていなくても、予防的措置(precautionary measures)がとられなくてはならない。
      しかもバンダジェフスキーの名づけた「長寿命放射性元素体内取り込み症候群」はウクライナやロシアでも報告され、さらに生殖系を介して未来世代への影響も報告されている重要な問題である。11) チェルノブイリ事故の被害者の尊い犠牲によって得られたものである。6) 今は亡き綿貫礼子さんは肝臓がんに苦しみながらも、自らの生命の危険も顧みず、吉田由布子さんたちの協力を得て、警告の書「放射能汚染が未来世代に及ぼすもの」を出版された12)

     2.リスク・ベネフィット論は強者の論理
      「基礎情報」が立脚しているのがICRPのALARA(As Low As Reasonably Achievable)と呼ばれる立場である。「基礎情報」は「経済的社会的に合理的に達成できる範囲で低く」というリスク・ベネフィット論の立場を採用している。
      核実験や原発による被曝のリスクが科学的に明らかになり、それに対抗するためにICRPが打ち出したのが、リスク‐ベネフィット論である。しかし、核実験や原発から一般人は利益を受けないので、ICRPは苦慮の末、「社会的・経済的利益」としたのである。原発における利益とは何か。それは電力会社の利益であり、その利益にあずかるどころか高い電気料金を支払う一般市民・住民の被曝リスクとのバランスを取ることが可能であろうか。
      放射線被曝の歴史を克明に調べた故中川保雄氏は次のように結論している。ICRPの言う「今日の放射線被曝防護の基準とは核・原子力を開発するためにヒバクを強制する側が、それを強制される側に、ヒバクがやむを得ないもので、我慢して受忍すべきものと思わせるために、科学的装いを凝らして作った社会的基準であり、原子力開発の推進策を政治的・経済的に支える行政的手段なのである」。13) この言葉の通り、一般市民や子供たちには原子力利用から利益はなく、放射線の被害を受けるだけである。特に農業、漁業にとっても一方的にリスクのみである。遺伝的被害も考えるとどんなに微量でも危険であり、強者が弱者にヒバクを強制しているのである。

     3. 国際的権威ではなく、被害者の立場で被曝の真実を記述すべきである
      国連科学委員会やICRPは英語の論文が中心である。しかし、ヤブロコフたちはスラブ系言語で書かれたものを中心に5000以上の文献を調べたとして甲状腺がん以外の多くの病気や被害者を明らかにしたのである。2) なぜ、ICRPに対抗してECRRができたのか。両者の相違点に触れず、後者を無視してICRPの見解が正しいとする根拠はどこにあるのか。科学者は本来、如何に不公平であっても真理を語るべきである。それが未来も含めた人類に対して誠実であり、正しい態度なのである。

     4. 閾値と集団線量
      「基礎情報」は私が批判した泉氏と全く同じように集団線量という考え方をICRPに従って否定しようとしている。19) 多数の人が低線量で被曝し被害が被曝線量に線形で生じる時、人数と被曝線量の積、集団線量、人・シーベルトは被害の予測として重要な概念である。「基礎情報」田崎氏、泉氏やICRPはなぜかくも熱心に集団線量を否定しようとするのか。
      一方、D.J.ブレンナー達の論文(PNAS 100,p13761,2003)はそのまとめで50ミリシーベルト‐100ミリシーベルトでの長期被曝で癌の増加の証拠があるとした後で、「10ミリシーベルト以下の実証は難しい。しかし、実証が困難であるということは被曝が社会的に無視できることを意味しない。非常に小さいリスクでも大人数に適用されると重大な社会的健康問題になる」と集団線量の考えを述べている。

     5.疫学の軽視や無視
      『医学的根拠とは何か』によれば津田敏秀氏は「数量化の知識なき専門家」(p95)と題して次のように記している。16)
      「実は広島と長崎のデータを併せて、100ミリシーベルト以下の被爆者は全年齢層併せても68470人しかいない(5ミリシーベルト以下38509人、5ミリシーベルト以上100ミリシーベルト以下29961人、100ミリシーベルト以上18141人、K.Ozasaら、Radiation Research,2012)」
      以上のように広島・長崎のデータが68470人である。広島・長崎より大規模な調査はないと思い、それより低線量の疫学調査はないと誤解している人がいる。20,21) しかし、たとえばWHOのIARC(国際がん研究機関)は15ヵ国の原発核施設労働者60万人から1年未満の労働者など特殊な人を除いた40万人に対して調査した。(E.Cardis et.al. Radia.Res.167(2007)396-The 15 Country Collaborative Study of Cancer Risk among Radiation Workers in the Nuclear Industry)。 一人当たりの累積被曝量の平均は19.4ミリシーベルトであった。がん死者と被曝線量の直線関係は統計的に有意であり、白血病を除くがん死の過剰相対リスクは1シーベル当たり0.97であった。IARCの疫学調査は科学であり、被曝労働の被害の予測にも使えるのである。
      さらにスウェーデンの汚染地域でがんが増えていることを報告したトンデル論文がある。(M.Tondel et al J.Epidemiol Community Health ,58.1011,2004) 114万人の住民を調査対象とした。観測されたがん発生の過剰相対リスクは土地の汚染度1平方メートル当たり100キロベクレルに対して0.11であった。今中哲二氏の見積もりによると1シーベルト当たりの相対過剰リスクとして5〜10となった15)。 広島・長崎データの場合0.5なので、トンデルらが観測した発がんリスクはその10から20倍に相当するという。
      がんの発生率に関して、私は次の点が重要であると思う。一般に放射性物質や化学物質による汚染は独立にあるのではなく複合的な汚染である。これは核実験による放射性降下物による汚染が進んでいた時代には、レイチェル・カーソンによって化学物質による複合汚染が警告された。現在は原発事故と化学物質との複合的な汚染効果も重要である。J.Mグールドたちのアメリカの原発周辺の乳がんの死亡率調査によると、両方に汚染された地域が放射線の影響を強く受けた。12,13) 喫煙と放射線との複合効果は良く知られている。その意味で我が国のように農薬を大量に使用する場合は、放射線被曝が一層危険である可能性がある。

     6. 低線量被曝における重大な被害
      熱線ではなく内部被曝で「バタバタ倒れた」人たちは広島・長崎で多数あった(例えば、「僕は満員電車で原爆を浴びた」米澤鉄志語り、小学館2013年、矢ケ崎克馬著、「隠された被曝」新日本出版、2010年)。この隠された被曝を被害が見えないくらい小さかったと重大な誤解をしている人がいる。20) 前述のようにチェルノブイリでも被害は隠されている。2) チェルノブイリ事故以後ベラルーシやウクライナで研究が進み、生殖系への低線量被曝がホルモン作用を通じて胎児に影響することが明らかになってきた。11) 胎盤や子宮にセシウム137が取り込まれることによる生殖系の被害のみならず、妊婦の脳に取り込まれたセシウム137に依って、母親の脳神経活動が乱され、胎児との脳神経活動の連携が混乱させられるといった報告もある。11) 「基本情報」が、影響は有意でないとする100ミリシーベルトよりずっと低線量である。また、後の世代にまで影響が続く。ぜひ、綿貫さんたちやバンダジェフスキーの著書を読んでほしい。ベラルーシやウクライナは出生率の低下に苦しんでいる。異常出産が増加しているから、子どもを持つ意欲の低下ではなく、放射性物質による生殖系の機能の低下が問題とされている。11) 以上から「基本情報」の⒛ミリシーベルト以下で帰還を認め、個人で被曝の管理できるかのような政策は福島事故に苦しむ胎児と母体の健康にとって重大な被害をもたらすことになりはしないかと危惧される。

     7. 低線量被曝の甚大な被害と食品の厳格な管理の必要性
      「基礎情報」は国際的な合意である予防原則を無視している。予防原則はむしろ、因果関係や機構の完全なる証明がなくても人類を守るために、行き過ぎの可能性があっても「賢明なる回避」を薦めているのである。これは水俣病はじめ多くの公害の深い反省に基づくものである。あまりにも歴史において、対応処置が遅れてきた反省からである。福島の甲状腺がんもヨウ素剤の投与が見送られたことが危惧される。放射線による甲状腺がんは悪性で転移しやすく治りにくいというのは山下俊一氏達の論文の教えるところである。ウクライナの低線量汚染地に暮らす子供たちの健康の悪化をNHKは緊急出版している。18)
      スクリーニング効果(調べすぎの効果)はチェルノブイリでも言われたが、2002年にゴメリで15歳以下の甲状腺がんがゼロとなるなどの事実から、発症は原発事故によるものであったことが確認され、スクリーニング効果は否定されている。原発事故以後、ウクライナ、ベラルーシでは死亡率が増大し続け、20年後にやっと増加が止まりつつある。これもウクライナでは1997年に飲み水の基準を2ベクレル/kgに引き下げて以後であった。
      Wikipedia英語版demographics の各国ページにある人口動態の資料22) によれば、この間、この両国の人口は、チェルノブイリ事故以後のピークから、合計で748万人も減少した(それぞれ670万人減、78万人減)。とくにウクライナでの人口減は激烈なもので12.8パーセントだった。およそ8人に1人が減ったという割合になる。ベラルーシでも7.6パーセントの減少率であった。さらに、ロシアでも2008年まで約580万人の人口減が記録された。この3国での人口減少は合計1327万人に上り、減少率は6.3パーセントであった。たしかに人口動態には、社会主義崩壊に伴う経済混乱が影響した部分があることは確かである。しかし、混乱が収束して経済が回復しても人口の減少は続いてきたという事実が示すように、チェルノブイリ事故の長期的影響がそこに反映していることは疑いえない。ヤブロコフらは、チェルノブイリ事故による犠牲者数を約100万人と見積もっているが、この急激な人口減少と対比するならば、この数字が決して法外な数字ではなく慎重に評価された数字であり、また数字の示している事態が極度に深刻であることを感じないわけにはいかないであろう(『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店)。2)
      繰り返しになるが最後に強調すべきことは、ICRP の内部被曝の評価に関しての疑問である。アルファ線やベータ線による被曝は体内では射程距離が短い(夫々およそ0.04ミリ, 5ミリ)ので、極めて局所的な被曝である。それをICRPは係数を大きくするものの、生体内の機構を無視した一様物体に置き換えて被曝を評価しているのである。ドイツ放射線防護協会は、こどもは4Bq/kg, 大人は8Bq/kgを食品基準とすることを提案しているが、生殖系などの被害を考えるとこれでも高すぎるようである。

    第5章 おわりに
      現在、子供の甲状腺がんが多発している。大人の甲状腺がんの増大も推測され、全年齢と福島県外への拡張も含めて健康診断の拡大が必要である。さらに放射線被曝による心疾患系、免疫系、生殖系まで含めた被害の拡大が危惧され、緊急の対策が必要である。
      ところが、 現在、政府と原発推進勢力は「国民にヒバクを強要する政策」を推し進めている。「基礎情報」はICRPに基づき被曝を過小に評価することで、この危険で破滅的な政策を推進する宣伝道具になる。それ故、「基礎情報」は撤回されるべきであると考える。政府と「基礎情報」の作成者は、この政策がもたらす「静かな大量虐殺」や全国民的な規模での健康破壊などあらゆる破局的な結果に対する責任を負わなければならない。
      われわれはこのような被曝被害を過小に評価する「基礎情報」に基づき帰還を推し進めるのでなく、被害者を支援する立場から、少なくとも次の4点が実現されるべきであると考える。
    1.子供・被災者支援法を住民の意志に基づいて、具体化し、充実し、本当に被災者、住民を支援する生きた法律にしなければならない。
    2.放射性物質による被曝から避難した、また避難しようとするすべての住民の避難の権利を認め、移住に必要な費用を政府と東電の責任で保障すべきである。移住できない人にも安全な食料や保養など被ばく低減のための支援が保障されるべきである。すべて事故によって強制された避難であり、「自主避難」という言葉は不適切である。
    3.まず、希望するすべての人に放射能健康診断と治療を国と東京電力の責任において無償で行うべきである。
    4.汚染水をはじめ、廃炉処理など福島原発事故の処理に全力を投入すべきでる。事故原因が明らかでなく、廃炉処理の見通しの立たない現状では住民の安全は確保できない。原発の再稼動や住民の帰還は危険であり、行うべきでない。

    参考文献
    1) 復興庁HP
        帰還に向けた放射線リスクコミュニケーションに関する施策パッケージ [平成26年2月18日]
     http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-1/20140217175933.html
       「放射線リスクに関する基礎的情報」
     http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-1/20140218_basic_information_all.pdf
    2) A.V.ヤブロコフ、V.B.ネステレンコ、N.E.プレオブラジェンスカヤ:「チェルノブイリ被害の全貌」、岩波書店、2013年
    3) 荻野晃也氏による私信
    4) 津田敏秀:「科学」岩波書店 2014年3月号
    5) 市川定夫:「新環境論III」p173 2008
    6) ユーリ・I・バンダジェフスキー:「放射性セシウムが人体に与える医学的生理学的影響」久保田訳、合同出版 2011年
    7) 三宅泰雄:「死の灰と戦う科学者」岩波新書 1972年
    8) 大和田幸嗣他著:「原発問題の争点‐内部被曝・地震・東電」 緑風出版、2012年
       A.Romanenko et.al.:Carcinogenesis 30, 1821, 2009年
    9) ラルフ・グロイブ、アーネスト・スターングラス:「人間と環境への低レベル放射能の脅威」肥田舜太郎、竹野内真理訳 あけび書房、2011年
    10) クリス・バズビー: 飯塚真紀子訳 「封印された『放射能』の恐怖」 講談社 2012年、p107
    11) ユーリ・I・バンダジェフスキー、N・F・ドウボバヤ:「放射性セシウムが生殖系に及ぼす医学的社会的影響」久保田訳、合同出版 2013年
    12) 綿貫礼子編:「放射能汚染が未来世代に及ぼすもの」新評論 2012年
    13) 中川保雄:「放射線被曝の歴史」技術と人間、1991年、同増補版、明石書店、2011年
    14) ジェイ M・グールド:「低線量内部被曝の脅威」緑風出版、2011年、
    15) ジェイ M・グールド、ベンジャミン A.ゴールドマン:「低線量放射線の脅威」、鳥影社、2013年
    16) 津田敏秀:「医学的根拠とは何か」、岩波新書、2013年
    17) 今中哲二:「低線量放射線被曝」岩波書店、2012年
    18) 馬場朝子、山内太郎:「低線量汚染地域からの報告」NHK出版、2012年
    19) 山田耕作:日本物理学会誌、会員の声、2013年10月号
    20) 田崎晴明:「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」 朝日出版社、2012年
    21) 菊池誠、小峰公子:「いちから聞きたい放射線のほんとう」筑摩書房、2014年3月
    22) Wikipedia英語版のアドレスは以下の通り(2013年7月閲覧)
         http://en.wikipedia.org/wiki/Demographics_of_Ukraine
         http://en.wikipedia.org/wiki/Demographics_of_Belarus
         http://en.wikipedia.org/wiki/Demographics_of_Russia

    追記 
     私はあるお母さんから被害者たちの詳細な症状のリストを受け取ったことがあります。そのリストの症状は単に気のせいといわれるかもしれません。それに対する独創的な試みが次のブログです。これは私の研究ではありません。詳細は次のブログをご覧ください。営利以外は自由に使用してくださいとのことです。このような研究が議論を通じて発展すれば素晴らしいことであると思います。 
     タイトルは「東京電力原発事故、その恐るべき健康被害の全貌−Googleトレンドは嘘をつかない−」
      http://ishtarist.blogspot.jp/2013/10/google.html#more 〕論編
      http://ishtarist.blogspot.jp/2013/11/google.html#more ▲如璽進
     2部から成っていて、理論編(pdf file 2.5M)とデータ編(pdf file 1.6M)でそれぞれ50 ページ、43ページあります。
     データ編からお読みになった方が著者の立ち位置とGoogleトレンドのメリットとデメリットを理解できて、健康被害‐自覚症状として‐の時系列での統計データが示す事実が放射能によるものであることが視覚的にわかってもらえるのではと思います。
     例えば、次の図で膀胱炎、口内炎、動悸、生理不順が2011年3月から増加していることが見えます。これは東京都での検索数ですが、大阪ではこのような傾向はみられません。学問的にも新しく、興味ある試みだと思います。

    20140226_yamadakosaku_fig02




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