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2015.08.20 Thursday

原発再稼働の経済と政治――経済産業省専門家会議「2030年度電源構成」の分析と批判 (4−6章・参考文献)

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    2015年7月
     
    原発再稼働の経済と政治
    ――経済産業省専門家会議「2030年度電源構成」の分析と批判
    (4−6章・参考文献)


    渡辺悦司
    2015年7月17日


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    原発再稼働の経済と政治――経済産業省専門家会議「2030年度電源構成」の分析と批判(78ページ,1877KB,pdf)


    〖参照〗 (1−3章)
    原発再稼働の経済と政治――経済産業省専門家会議「2030年度電源構成」の分析と批判(1−3章)



    第4章 核武装の準備としての原発と再処理・核燃料サイクル、
       原発再稼働と軍国主義の不可分の結びつき、
       日本における民主主義の危機の現れの1つとしての再稼働


       1.原発問題は軍事問題である

     前に引用した『ダイヤモンド』誌のインタビュー記事の後半も興味深い。

    (西川)過去にさかのぼって資料を調べれば調べるほど、原発問題の行きつく末は軍事問題なのだということがわかる――と西村さんは言う。?
    (西村)「1954年に保守3党から最初に原子力予算が提出されたとき、中曽根康弘氏ら中心メンバーは『原子兵器を使う能力を持つことが重要』という意味の言葉を述べています。また、1969年にまとめられた『わが国の外交政策大綱』には、当面核兵器は保有しないが、核兵器を作るためのお金や技術力は保っておくべきである、と書かれているんです」。
    (西川)プルトニウムを保有することの良し悪しは別として、西村さんは「これ以上のプルトニウム製造は、安全保障の面から見ても必要ないはず」と言い切る。?
    (西村)「すでにフランスやイギリスで再処理し、(国内に)保管してある日本のプルトニウムの量は、核兵器数千発分に相当します。だから国際的に見れば、日本は"準核保有国"という位置づけなんです」。


     この記事は極めて重要であって、安倍政権と財界中枢が原発に固執する経済以外の理由、政治的軍事的理由を明らかにしている。核武装の準備、その物理的条件の確保、その前提として「準核武装国」の地位の維持――これこそ原発再稼働と原発推進の隠された秘密である。
     今回の政府案のベースとなった日本経団連の文書「新たなエネルギーミックスの策定に向けて(概要)」は、「エネルギーミックスの中に原子力を明確に位置づけ、核燃料サイクルを着実に推進することは、日米原子力協定を円滑に延長し、世界の原子力平和利用に貢献するためにも重要」であると露骨に書いている。(文献8)。
     プルトニウムの抽出を含む再処理が国内で可能な現在の日本の「準核武装国」としての地位は、ここに言及されている日米原子力協定によって与えられており、その期限は2018年で切れる。韓国などは日本にだけこのような地位を与えることに反対している。この改訂交渉のためにも原発を稼働し、核燃料サイクルを推進しておかなければならないという発想は、日本の独自核武装カードを保持し続けるという意図の露骨な表明であり、安倍政権が進めている安保法制・集団的自衛権の行使容認と一体のものである。
     アメリカ支配層の一部で、日本の核武装によって中国に対抗していく可能性が検討されていることは、日本経済新聞に掲載されたアーサー・ウォルドン氏(ペンシルベニア大学教授)の論説にはっきり示されている(2014年3月7日付)。同氏は、中国の核戦力および通常戦力が今後10年間さらに強大化すれば、日本が攻撃された場合に米国が核兵器によって日本を防衛することはできなくなるであろうという見通しを述べ、日本のミサイル迎撃システムも中国の核兵器に十分には対抗できないであろうと書いた後、次のように言う。「その問題に対する答えは困難だが、極めて明確だ。中国は脅威であり、米国が抑止力を提供するというのは神話で、ミサイル防衛システムだけでは十分でない。日本が安全を守りたいのであれば、英国やフランス、その他の国が保有するような最小限の核抑止力を含む包括的かつ独立した軍事力を開発すべきだ」と結んでいる。日本に核武装の検討を公然と促す主張を、アメリカの専門家によって書かれたものではあれ、日本財界に最も近い有力紙日本経済新聞が掲載したことは、極めて意味深長である。それは、日米支配層の間で、中国の核戦力に対抗する手段として、日本の核武装という選択肢が本格的に研究され検討されていることを示す証拠の一つである。多くの場合、日本の核武装は、安倍現首相も含む一部の右翼的政治家の失言やブラフとだけ見られているが、その危険性を決して軽視してはならない。現在問題になっている戦争法制を阻止しなければ、原発再稼働を阻止しなければ、次には核武装が前面に出てくる危険が十分ありうるということであり、決して警戒を怠ってはならない。

       2.現在問題になっている戦争の性格

     重要な問題は、現在の安倍政権が強行しようとしている「戦争法制」における「戦争」の「仮想敵国」はどこか、実際に想定され準備されつつある戦争は社会経済的に見てどのような性格の戦争か、という点である。まず、仮想敵国が第1には中国であり、さらにはロシア、北朝鮮、イラン、またテロリストと一括されている武装集団であることは明らかである。想定されている戦争は、大きく分けて2つである。
     第1は、イランや中東諸国や北朝鮮など、さらにはテロリストを口実とした途上諸国に対する帝国主義的・植民地主義的な侵略戦争である。独占資本主義の基礎の上では、資本輸出によって蓄積され、世界的規模に拡大してきた海外権益が存在すれば、それを武力によって防衛しようとする衝動が生まれるのは、必然であり、それがこのような戦争の基礎にあることは明らかである。日本は、自国だけではできないこの機能を、アメリカやその他の国と協力して、アメリカの下請けとして、積極的に果たそうとしているのである。だがこれだけではない。
     第2は、中国およびロシアを主敵とする世界的覇権と勢力圏の維持・再分割のための戦争である。中国はその経済力の強大化に見あう勢力圏を要求する形で、ロシアは社会主義崩壊時に米欧に奪われ失った勢力圏を取り返す形で、世界の勢力圏の再分割を求めようとする野望が出て来るほかない客観的立場に置かれている。これは今まで支配してきたアメリカ・欧州・日本などの利害と直接に衝突する。このような利害対立がどの当事国にとっても帝国主義的性格を持つことは明らかである。しかも現段階の特徴は、この再分割の対象には領土が直接的な形で含まれていることである。経済的分割とは違って、領土の再分割は、クリミアやウクライナ東部の例で明らかなように、武力によって軍事的にしか行うことができず、それは他の当事国との戦争に転化する可能性が極めて高い。
     現在アメリカがアジアにおいてまた世界的規模で準備し日本がその一翼を担おうとしているのは、第1の戦争だけではない。第2の戦争、世界支配と世界的勢力圏の帝国主義的再分割をめぐる、中国・ロシアに対する全面核戦争あるいは全面核戦争に転化する可能性が高い局地的戦争もそうである。自衛隊をそのための米軍配下の「下請け」部隊に変えてしまうことが、「安保法制」と現に進んでいる日米防衛協力(さらにはオーストラリア、フィリピン、インドなどとの軍事協力)の真の目的である。その目下の焦点の1つは、中国との間での南シナ海の領土的経済的軍事的な分割である。自衛隊と米軍およびフィリピン軍の共同哨戒訓練がすでに始まっている。これが中国との直接の軍事的対立に導くであろうことは明らかである。
     現在表に出ている「戦争法制」と「集団的自衛権」は、次には「憲法改悪」「徴兵制」に、さらにはアメリカの軍事力が相対的に弱体化するような場合には西川・西村両氏の警告する「日本の核武装」となってエスカレートしていくであろうことは、すでに明白である。
     また三菱グループを想起すれば明らかなように、日本の主要原発企業は、同時に軍需企業集団であることを忘れてはならない。

       3.原発輸出による新興国への核兵器拡散の危険性

     日本の原発企業は、新興諸国や途上国に対して大々的に原発を輸出しようと計画している。それには原発事故時の日本政府による(したがって日本国民の税金による)補償条項が付いている点が問題視されている(文献44など)。われわれは、さらにこの点に加えて、もし新興国への原発と核技術の輸出が実施されるならば、核武装を狙っている諸国への核兵器の拡散につながりかねず、世界的な核戦争の危険を高める結果になりかねない点を強調したい。
     最近、新興国への核拡散の危険の切迫度を端的に示す事例があった。アメリカ・欧州は、イランとの間で、イランのウラン濃縮の権利を認め、読みようによっては「8〜15年後」のイランの自由な核開発すなわち核武装を容認したとも解釈される核協定を締結した。このことと関連して元米国国連大使ジョン・ボルトン氏は「サウジ、トルコ、エジプトが核兵器が不可欠と結論づけ」「(中東における)核軍拡競争が始まった」と警告したと報道されている(読売新聞2015年7月15日付)。三菱グループは、安倍首相の直接の後押しを受けて、仏アレバと共同で、トルコに原発を輸出することに決まっているが、これがトルコの核武装の物的準備を促す危険性は極めて高いといわざるをえない。

       4.軍国主義に内在する自滅的性格

     よく知られているように、軍国主義は内在的に、すなわちそれが何らかの外的な力で抑え込まれることがないならば、不可避的に戦争に向かって突き進み、軍事的な敗北や泥沼あるいは社会経済的崩壊などの決定的な破局に陥るまで止まることができないという一種の自滅的傾向をもっている(文献47)。明治維新後の征韓論から始まり日清・日露戦争を経て太平洋戦争での軍事的敗北と無条件降伏にいたる歴史を振り返ってみても、このことは明らかである。
     近年目立って活発化している日本の軍国主義は、決して日本が経済的金融的に成長・強化されつつありそれを基礎にして顕著に前面に出てきているのではない。むしろ反対である。確かに日本の独占体は対外進出を遂げ、世界の経済的分割に深く関与するようになっている。だが、日本の長期的経済停滞と最近の円安によって、日本の国際的な経済力は大きく削がれている。IMFの統計によれば、日本と中国のGDPを名目で比較すると、日本は2009年に中国に抜かれて以降、2014年には中国の半分以下になっている。日米比較では、日本は1990年代半ばにはアメリカの7割程度であったが、2014年には4分の1程度にまで低落している。購買力平価では、日本はすでにインドにさえ抜かれて世界の4位に転落している。このような日本の急速な経済的衰退とそれに対する危機感・焦燥感こそが、軍国主義的傾向をいびつな形で強めているのである。
     軍事的にも日本は、中国の軍事的台頭によって、1980年代ごろまで有していた東アジアにおける通常兵器における軍事力の優位を失って久しい。最近の「集団的自衛権」や「歴史問題」などをめぐる政府や自民党の首脳たちの「勇ましい」発言などもまた、決して日本の軍事的地位の強さの証明ではない。これも反対である。軍事ジャーナリストの福好昌治氏は、自衛隊筋に近い軍事雑誌『軍事研究』において、改訂された日米ガイドラインを詳しく分析して次のように結論している。「アメリカは対テロ戦争で疲弊した」「新ガイドラインで日米同盟のグローバル化が打ち出されたものの、肝心のアメリカの力が陰りを見せ始めた。だからといって日本がアメリカに替わるグローバルパワーにはなれないし、アメリカもそれを望んでいない、むしろ警戒している。」「日本が(とくに尖閣問題をめぐって)対中抑止にアメリカを巻き込もうとしているのに対し、アメリカは(日中間の)余計な紛争には巻き込まれたくないと考えている。日本は自衛隊の役割を拡大しようとしているが、アメリカは日本防衛への関与を後退させている。日米の思惑には微妙な相違がある」と(文献47)。この発言は、中国による占領の危険にさらされている尖閣列島の防衛へのアメリカの政治的軍事的協力と引き替えに、「集団的自衛権」容認による世界的規模での自衛隊の米軍下請け部隊化が、日米間で取引された可能性を示唆している。このように日本が経済的にのみならず軍事的にも後退局面にあり追い込まれて行っていることが、安倍政権が進める日本の冒険主義的軍国主義をより危険で自滅的な性格を強めているということができる。

       5.日本の民主主義全体の危機の一環としての原発再稼働

     すでに指摘したように、現在始まろうとしている原発の大規模再稼働の計画は、対米従属の一段の強化の下での日本軍国主義の急速な台頭と不可分に結びついているだけではない。またそれは、憲法学者のほとんどが憲法違反として反対しており憲法違反が誰の目にも明らかな安保法制を政府がごり押しすることによって顕在化している日本の民主主義全体の危機、立憲主義そのものの危機の一環でもある。原発をおよそ20年周期で福島的事故を引き起こし住民と国民全体を被曝させる想定を持って再稼働することは、憲法の保障する人権、人格権の公然たる蹂躙であり、明確な憲法違反である。国民の大多数が反対しても、政府が決めたことだから「粛々と」強行するという意味でも、安保法制、沖縄の辺野古基地建設などと同じく民主主義の公然たる否定である。この意味で、原発再稼働に反対する闘いは、民主主義と憲法・立憲主義を守る闘争の一環である。
     安倍政権を先頭として軍国主義を進めようとしている勢力は、原発の大規模再稼働を推し進めようとしている勢力と一体化している。それには公明党・創価学会の指導部も含まれる。軍国主義に内在するこの自滅的傾向は、原発の再稼働計画にも反映して、原発推進自身のもつ自滅的傾向と一体となり、その危険性を異常なほどに高めている。この二つの自滅的傾向の結合こそ、原発再稼働をめぐる政府・財界の議論における思考の異常な「倒錯」「転倒」や「狂気」「狂信」の物的な基礎である。原発の大規模再稼働において示されている自滅的・自殺的傾向は、日本の軍国主義に必然的に内在する自滅的傾向と一体のものなのである。安倍政権と支配層は、このように戦争・核戦争によると同時に原発事故・放射線被曝とによる自滅に国民を無視やり巻き込もうとしているのである。
     「原発事故で被曝しても安心」「福島事故では何の健康被害もない」「被害を言うものは風評をばらまくものだ」という現在行われている政府・原発推進勢力のキャンペーンは、安倍的な戦争路線が進んでいけば、次の段階では「核戦争による放射性降下物があっても大丈夫」「死の灰で被曝しても安心」「核兵器を使っても問題ない」という性格に変化していく危険性がすでに見え隠れしている。被曝安心キャンペーンには、核兵器にも原発にも反対していると称する野口氏ら「放射線被曝の『理科・社会』」のグループも巻き込まれているが、彼らは、この傾向が、核戦争を肯定する恐るべき毒芽を宿している(毒牙を隠しているという方が適切かもしれない)ことに、本当に気が付いていないのであろうか。きわめて深刻な事態である。


    第5章 風力・太陽光を基礎とした電力技術革命、その世界的進展、
        その中で再生可能エネルギーの導入抑制を基礎に原発を大規模再稼働する意味について


     すでに述べたように、政府の2030年度電源構成案の電源構成は、原発の最大限での再稼働の障害となる再生可能エネルギー導入の推進を阻止するという内容である。このことの技術的・経済的意味を考えていこう。そのためには、その前提として、再生可能エネルギーをめぐる技術的・経済的状況を検討することが必要不可欠である。
     政府案に規定されている「再生可能エネルギー」には、いわゆる風力、太陽光、地熱、小規模水力などにとどまらず、旧来からの水力や一般に火力に分類されているバイオマスなども含まれている。ここでは、風力、太陽光、地熱、小規模水力を含む水力を「自然エネルギー」、そのうち風力と太陽光を国際エネルギー機関(IEA)に従って「変動性再生可能エネルギー(Variable Renewable Energy、以下VREと略記)」、自然エネルギーにバイオマスを加えたものを政府報告書どおり「再生可能エネルギー」と呼ぶことにする。
     現代の特徴は、風力と太陽光などVREを基軸とした電力技術全体の革命が世界的規模で現に進行中であり、VREを中心として電力系統を構成することが技術的にもコスト的にも可能になっただけでなく現実に実用化が進んいるという事実である(文献14、20〜24)。もはや再生可能エネルギーや自然エネルギーの最大限の利用は「将来の理想」ではない。「現実に生じている電力革命」なのだ。

       1.風力・太陽光発電を基軸とする電力技術革命の進展

     政府や財界首脳達は、自然エネルギーの変動性は「技術的に克服できない」「ベースロード電源にはならない」という後ろ向きの、その意味で反動的な、しかも虚偽の主張にしがみついている。しかし、政府の電源構成案は無視しているが、世界では、自然エネルギーをめぐる革命的な技術革新が現在急速に進行中である。すなわち、①自然エネルギーによる発電と蓄電池システムとの結合、②自然エネルギーによる発電の天候予測システムとの統合、③電力系統(送電網)への接続管理システム、がすでに実用化され、それに加えて④余剰電力の水素転換(電気分解)と燃料電池を結合した「パワー・トゥ・ガス」システムの開発、が進んでいる。これらは「変動性再生可能(自然)エネルギー革命」ともいうべき根底からの技術革新である。「変動性が大きい」という特性は克服され、むしろ反対に、変動性を積極的に利用する技術が確立されつつある。太陽光による発電量は電力使用の山と一致し、また風力の出力は太陽光と反対方向に動く場合が多く相互補完的に使用できるからである。
     以下、いくつかの事例を検討してみよう。

    事例1:アメリカにおける風力発電所レベルの蓄電池と電力系統周波数調整サービスとの組み合わせ

     相対的に早い事例として米国ウェストバージニア州ローレルマウンテン風力発電所とその蓄電池群を挙げることができる。同風力発電所の蓄電システムはすでに2011年に稼働を開始している。
     マーチン・ラモニカ氏はこのプロジェクトについてマサチューセッツ工科大学のMIT Technology Review(2013年4月12日)に次のように書いている。

    「(AES社の)ウエストバージニア州のローレルマウンテンの蓄電施設では、A123システムズ社製の蓄電池群は、容量3万2000キロワットで最長15分間、充電または放電を行うことができる。… 同社は4つの地点で、巨大なリチウムイオン電池群を用いた設備容量15万キロワットのエネルギー貯蔵プロジェクトを施行してきた。… 同社は、今週初め、容量4億キロワット時の周波数調整サービスを、PJM社(米東海岸の送電網会社)が運営する送電網の一部、中部大西洋岸諸州の電力系統に提供し始めたと発表した。… 蓄電池は、実際には16個の出荷用コンテナに装備された蓄電池群であるが、ウエストバージニア州の61基の山頂設置風力タービン(最大出力9万8000キロワット)からエネルギーの供給を受けている。シェルトン(同社長)によれば、周波数調整サービスを提供する場合、風力発電と蓄電池の組み合わせは、天然ガスおよび石炭火力発電所よりも一貫して優位にあるという。… (同蓄電施設は)地域送電網運営機関に柔軟性と安定性を提供し、それに対して報酬を支払われている。… 多くの化石燃料火力発電所とは違い、蓄電池は常時接続して使われしかも数秒以内に応答する能力がある。」(下線部は引用者が付けたもの、文献21)

     まずこのシステムの規模を考えてみよう。次のことが分かる。
     AES社の蓄電池設備総容量は「15万キロワット」あるが、これは瞬間供給能力で、ほぼ標準的な小規模火力発電所の発電能力に等しい。
     AES社が受注した「4億キロワット時の周波数調整」は
     =原発の1年間の発電量(87億6000万キロワット時)の約22分の1
     =原発1基の半月分余の発電量に等しい
     =瞬間能力換算では(÷8760で)約4万6000キロワット
     =通常時にはAESの蓄電池能力(15万キロワット)の約3分の1弱を使用する、ということになる
     次に、火力発電所の接続には10分単位の時間がかかり、数秒で接続・切断できる蓄電池は電力系統の安定に対する利点は極めて大きい。
     重要な点は、単に個別の風力発電所(ウィンド・ファーム)が蓄電池と結合されて供給電力を安定化しているだけでなく、小型火力発電所規模の自然エネルギー+蓄電池+電力系統周波数調整サービスのシステムが実用化され稼働しているという事実である。これはすでに2013年はじめの時点での話である。ちなみに、ここに出てくるA123社は、経営不振に陥り、現在中国の万向集団と一部は日本のNECが買収して子会社化している。日本の支配層がアメリカのこのような最新の電力動向を知らないとは考えられない。

    事例2:電力会社レベルでのエネルギー貯蔵・周波数安定化システム

     個別の風力発電所レベルだけでなく、電力会社レベルでも、自然エネルギーの貯蔵および周波数安定化システムが実用化されている。アメリカの最大手電力会社デューク・エナジー社の声明(2013年1月)から以下に引用しよう。

    「デューク・エナジー社の事業部門の1つ、デューク・エナジー・リニューアブルズは、本日、エネルギー貯蔵・電力管理システム(3万6000キロワット)が、テキサス州西部のノートゥリーズ風力発電プロジェクトの一環として完成したことを発表します。2012年12月、同システムは検査を完了し、完全稼動しました。… 電池蓄電プロジェクトは、余剰の風力エネルギーを貯蔵し、電力需要が最も高い時間帯にそれを放電して、風力発電の変動性を軽減する機能を担います。 
     同システムには、電力需要がピークとなる時間帯に再生可能エネルギーの供給を増やす働きに加えて、送電網全体を通して供給される電気の周波数を安定化させる機能があります。」
    (下線部は引用者が付けたもの、文献22)

     すなわち、ここでも、風力発電と蓄電池システムの組み合わせによって、①風力発電所の変動性の軽減、②電力需要のピーク時に放電することによる需要変動への対応、③送電網の周波数安定化、という電力管理システムの機能が果たされていることが分かる。デューク・エナジーは関西電力と提携関係にあり、電力業界の上層がアメリカにおけるこのような動向を知らないはずはない。

    事例3:アメリカにおける大規模太陽光発電所

     アメリカにおいて、風力発電だけでなく太陽光発電においても大規模な発電施設の建設が進んでいる。『日経テクノロジー』インターネット版は、2015年7月2日、カリフォルニア州において大規模な太陽光発電所が次々と稼働して行っている状況を伝えている(単位は日本でよく使われるkWおよびkWhに変換してある)。

    「今年6月に連系出力57万9000kW、太陽光パネルの設置容量74万7300kMWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「Solar Star」がカリフォルニア州ロザモンドで運転を開始した。世界最大規模である。年間発電量は最低でも15億6000万kWhが見込まれ、なんと一般世帯約25万5000世帯の消費電力に相当する。…プロジェクトは2013年初めに着手され、米サンパワー製の高変換効率タイプの単結晶モジュール(太陽光パネル)を170万枚以上、採用した。最後のモジュールは今年3月に設置が終わり、プロジェクトの完成となった。架台システムは、太陽の方角に合わせてアレイの向きが自動的に変わる『追尾型』になっている。
     …カリフォルニア州には現在、出力容量で世界トップ3のメガソーラーが稼働している。「Solar Star」を筆頭に、55万kWの「Topaz Solar」、やはり同じ55万kWの「Desert Sunlight」が稼働している(いずれも連系出力)。
     …2014年時点で、カリフォルニア州は大規模太陽光発電・集光型太陽熱発電(CSP)で州全体の電力供給の5%以上を賄っている。同州は、電源に占める太陽光・CSPの比率が全米で最初に5%に達したという。ちなみにこの比率は、電力卸売り用のメガソーラーからの電力に限られ、分散型太陽光発電システムからの発電(230万kW相当)は含まれていない[これを含めるとおよそ570万kW、8%になる―引用者]。
     …同州における大規模太陽光・CSPによる電力発電量は、2013年の610億kWhから990億kWhに大きく飛躍した。…カリフォルニア州のRPS用に設置されたメガソーラーの設置容量は、今年5月時点で340万kWを超える。
     …2013年時点で州の民間電力会社による再生可能エネルギー調達量は20.9%にまで達している。さらに、各電力会社は(再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準RPSである)「2020年33%」を満たせる再生可能エネルギーの電力量を購入契約でほぼ確保している。
     …2014年における同州の再生可能エネルギー全体の内訳は、36%が風力、そして25%が地熱発電という。電力会社のRPS用電力購入契約を考慮すると2020年の再生可能エネルギー構成比(ミックス)は太陽光発電が40%を占めると予想されている。」
    (下線部は引用者が付けたもの、文献26)

     この記事で分かるように、米カリフォルニア州では、すでに現時点で、日本政府の15年後の太陽光発電導入目標である年間855億kWh、電源構成比率7%が早くも達成されているのである。電源構成案が計画段階ですでにどれほど世界の水準から「時代遅れ」になってしまったかは明らかであろう。

    事例4:スペインの自然エネルギー発電量予測システムとその中央給電センターとの統合

     畑陽一郎氏は、再生可能エネルギーに関する情報サイト「スマート・ジャパン」で、スペインの事例について以下の重要な指摘を掲載している。

    「スペインが風力発電などの再生可能エネルギーの比率を高めることができた理由は、連系線(送電網のこと)にはない。それ以外の3つの仕組みにある。
     1つは出力の予測技術。先ほどの統計にもあるようにスペインの風力の比率は2割を超える。「風まかせ」とやゆされる風力発電のために、特に強力な予測技術を利用している。REE(スペイン電力系統運用会社)は、早くも2001年に「SIPRE?LICO」と呼ばれる風力発電所の発電量予測システムを開発し、翌年から運用を始めている。この予測システムは48時間先までの電力量を1時間単位で予測可能だ。予測値は15分ごとに更新する。予測精度は年を追うごとに正確になっている。全設備容量に対する二乗平均誤差は、現在、1時間後の予測で1%以内、24時間後でも4%以下だ。
     同システムは、2006年に開設されたREEの中央給電センター「CECRE」と完全に結び付いている。CECREの目的は全国の系統を安定化させることだ。CECREは、出力10MW(1万kW)以上の風力発電所と通信回線で結合されている。出力値の更新頻度は12秒と短い。これが再生可能エネルギー(風力)の比率を高めることができた2つ目の理由だ。
     3つ目の理由は、CECREがSIPRE?LICOの予測に基づいて、水力発電やコンバインドサイクルガスタービン発電などの調整力を計算、系統のバランスを保つ能力と権限を備えていることだ。いざというときは風力発電の解列(系統からの切り離し)も行う。
     CECREの開設後、2008年にはスペイン全国の強風により、風力発電の発電比率が1日のうちに一時的に40.8%まで高まったこともある。これも無事乗り切った。」

     あわせて引用すれば、スペインでは「この(2014年1〜5月)5カ月の全電力量に占める再生可能エネルギー由来の電力の比率は52.7%」に上ったという(下線部は引用者が付けたもの、文献23)。

     ここには、スペインにおいて、①自然エネルギーによる発電量の予測システム、②それと中央給電センターとの結合、③水力発電・天然ガス発電などのそれらへの統合、について見事に要約されている。

       2.ベースロード電源という考え方は「時代遅れ」である

     安田陽氏は、アメリカやヨーロッパの電力系統の分析から、「ベースロード電源」という考え方そのものが「時代遅れである」という結論を引き出している。「日本では石炭火力発電や原子力発電はできるだけ一定出力を保ちベースロード電源として運転することがいわば常識のように考えられているが、海外ではその前提は崩れつつある」「ベースロード電源消滅の主な要因は水力発電、風力発電や太陽光発電など、『再生可能エネルギーの大量導入』である」「再エネは燃料費がゼロで短期限界費用が安く…(電力卸売)市場ではこれらの電源が必然的に優先的に落札される」「このように、市場で再エネが優先されるのは、経済学的に合理的な行動である」というのである。続けて安田氏は警告する。「より重要なのは、そのことを多くの日本人が知らされていない、ということである」と(文献20)。
     政府や大手マスコミは、現在進行中のこの再生エネルギー革命について巧妙に隠蔽しようとし続けている。安田陽氏が言うように「再生可能エネの大量導入についてはここ5年間だけでも恐ろしいスピードで進展しているが、それら(の情報)は断片的にしか日本にもたらされていない。情報が偏るとその国や組織の末路がどのようになるかは、経営者や意思決定者であれば誰でも肝に銘じているはずである」(文献20)。しかし、残念ながら、安田氏のこの警告が、日本のトップ経営者や政府・経産省の意思決定者にしかるべく受け止められているとは思われない。

       3.自然エネルギーは国産エネルギーであり自給率上昇にも役立つ

     大林ミカ氏も「『ベースロード』をめぐる誤解 2030年、日本の電源構成をどう考えるか」(『科学』2015年6月号)において、「ベースロード電源」という考え方そのものが時代遅れであり、「古くさいもの」になっていると指摘している。
     大林氏は、自然エネルギーが「国産エネルギー」でありエネルギー自給率の向上に役立つ点を合わせて強調している。米欧における自然エネルギーの導入は急速に進んでおり(下表)、これらの国々は2020年あるいは2030年に、電力の半分程度かそれ以上を「自給できるようになる」ことを意味しているという。またドイツでは、風力発電の増加の結果、1年間に電力卸市場価格が20%も下がったという(文献29)。フランスが2030年に自然エネルギー40%を目標としていることも注目される。いままで原発に全面的に依存してきたフランスは、「縮原発」の方針を打ち出し、原発を縮減していく方向に転換している(文献30)。自然エネルギーの導入を抑えてまで原発に再度依存しようとしているのは、主要国では日本だけである。


    出典:大林ミカ「『ベースロード』をめぐる誤解 2030年、日本の電源構成をどう考えるか」『科学』2015年6月号

     経産省の電源構成案はその基本目的の一つとしてエネルギー自給率の向上を上げている。しかし、もしそれを真剣に追求するのなら再生可能エネルギーの導入こそ、そのための最も有効な手段であるはずなのである。
     国際エネルギー機関(IEA)は、2014年に、『電力の変革 風力、太陽光、そして柔軟性のある電力系統の経済的価値』と題する報告書を公表し、変動性再生可能エネルギー(VRE:主に風力と太陽光)を発電量の45%に高めるよう各国に勧告した。同報告書は「風力発電及び太陽光発電には、より安定的で持続可能なエネルギーシステムへの大きな貢献が期待されている」として重要性を強調し、続けて「しかしこれらは風量と日射量の変動によって制約され、常時必要な電力需給バランスを維持しなければならないという課題が発生する」と課題を提起し、それに続けて本報告書の結論として「VREの高い導入シェア―(VREの年間発電電力量の45%まで)は、長期的には電力システムにかかる費用コストの大きな増加なしで実現できる」と書いている。上記のEUの目標はこれを踏まえたものとなっているが、日本政府の電源構成案案は、IEAの勧告に真っ向から反している

       4.日本の電力産業の技術的立ち後れ

     安田氏の警告するように、日本の電力システムは、いまや自然エネルギーを基礎とする世界的電力技術革命から決定的に立ち後れて行っている。
     風力と太陽光の世界的動向との比較を挙げよう。
     風力では、政府の「2030年度電源構成案」の通りに事態が進めば、2030年になっても、日本は風力発電能力で昨年2014年末のブラジルの発電能力以下でしかない。

    世界の風力発電能力の上位10ヶ国(2014年末Wikipedia英語版による)

    出典:GWEC-Global Wind Statistics 2014.
    注記:記載されているのは定格出力である。年末時点での数字。中国とブラジルについては暫定値。
    http://en.wikipedia.org/wiki/Renewable_energy

     風力発電技術での日本の立ち後れは明らかであり、日本企業は最大手である三菱重工を含めて、世界の風力発電メーカーの上位15社にはまったく出てこない。経産省の電源構成案自体が、日本の国内市場でさえ、海外メーカーが市場シェアーの3分の2をおさえていることを認めている。

    例1:風力タービンでの日本企業の競争力の顕著な低下傾向

    出典:総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会 発電コストワーキンググループ「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する 発電コスト等の検証に関する報告(案)」

     太陽光発電では、風力よりは日本は上位にあることは事実であるが、電源構成案の太陽光抑制路線が進んでいった場合、この部面でも風力と同じ事態が予想される。

    太陽光発電の上位10ヶ国(2014年) 総出力および年間追加出力での比較

    Data:IEA-PVPS Snapshot of Global PV 1992-2014 report, March 2015[2]:15
    これらの10ヶ国で世界の累積総出力および追加出力のそれぞれ85%および90%を占めている。
    http://en.wikipedia.org/wiki/Growth_of_photovoltaics

     また、日本の太陽光発電モジュールの価格は、諸外国に比べて明らかに高く、この点でも日本の優位の消失傾向を示している。

    日本における太陽光パネル価格の他の主要国との比較

    出典:総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会 発電コストワーキンググループ「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する 発電コスト等の検証に関する報告(案)」

     電力技術のレベルを示すもう一つの指標は、電力周波数の安定性である。アメリカ、欧州は周波数の要求精度が非常に高く、日本はこの点で大きく立ちおくれている(日本の周波数誤差はアメリカより1桁程度大きく、ヨーロッパよりは5倍程度大きい)。以下Wikipedia より引用しよう。

     (1)北米 (NERC) 年間標準偏差(一分間平均値)目標値(北米は60Hz)
        ・東部: 0.018Hz以内、西部:0.0228Hz以内
        ・テキサス(ERCOT):0.020Hz以内
        ・ケベック:0.0212Hz以内
     (2)欧州 (UCTE) 年間標準偏差(一分間平均値)目標値
        ・50±0.04Hz以内:90%以上、50±0.06Hz以内:99%以上
     (3)日本の電力会社が目標としている周波数偏差
        ・北海道 50±0.3Hz以内、時差 3秒以内
        ・中西地域 60±0.2Hz以内、(中部電力 時差±10秒以内、滞在率95%以上 60±0.1Hz)
        ・東地域 50±0.2Hz以内、(東京電力 時差±15秒以内)
    出典:「商用電源周波数」Wikipedia 日本語版より
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%95%86%E7%94%A8%E9%9B%BB%E6%BA%90%E5%91%A8%E6%B3%A2%E6%95%B0

     日本が、再生可能(自然)エネルギー技術で、とくに風力において顕著に、しかし太陽光においても同様に、国際水準から立ち後れ、国際競争力を喪失しつつあることは事実である。もしも、政府の電源構成案に盛り込まれた再生エネルギー抑制政策が2030年度まであと15年間も実施されたとすれば、進行中の世界の電力技術革命から日本が決定的に立ち後れるだけでなく、日本企業が再生エネルギー分野での国際競争から致命的に落伍してしまう結果を引き起こすであろう。

      5.自然エネルギー革命から出てくる将来に向けての結論

     進行中の自然エネルギーを基軸とする電力技術革命によって、将来への展望も大きく変化した。現在の技術水準を前提にすれば、風力・太陽光に水力・地熱その他を組み合わせることによって、ほとんどすべての電源を自然エネルギーに依存し、それによって発電部門のCO2排出量を劇的に削減することは、現実に可能となっている――これが将来に向けての結論である。
     ただ自然エネルギーの開発もまた、資本主義的進歩の本質である二面性と矛盾から自由ではあり得ない。それは大きな技術的革命ではあるが、同時にまた大資本、金融ファンド、地主などの特権層によって行われる限り、巨大な環境破壊と住民からの土地収奪、住民の生活破壊を必然的に伴わざるをえない(文献49)。
     したがって、われわれが求める自然エネルギー開発に関する基本的な方向は、
     (1)重大事故と住民被曝による破局的リスクを伴うほかない原発に反対する観点から、また火力発電によるCO2排出や大気汚染に反対する観点から、基本的方向として自然エネルギーあるいは再生可能エネルギーの導入に賛成であり、その促進を支持するけれども、
     (2)自然エネルギーの開発が、巨大資本によって行われ、自然環境を破壊し、地域住民の土地を取り上げ生活を破壊する形で行われることに対する民主的統制が必要であり、
     (3)自然エネルギーの開発は、①地域住民が参加し住民の利益になるような形で、②自然環境や景観が保護される形で、③集中的な大規模発電施設よりは小規模な発電施設を数多く作りそのネットワークを形成する形で、④経済全体の省エネルギーや地方分散と結びつける形で、⑤エネルギーの地産地消を促す形で、なされるように求めていかなければならず、
     (4)日本の客観的な具体的条件の下では、とくに都市の家屋・建屋の屋根や構造物上の太陽光発電、ダムを造らない小規模水力発電の極めて多数の設置、洋上の風力発電などが適切であると考える。
     
    第6章 電源構成案の経済的結果――迫り来る電力過剰設備と技術劣化の危機

       1.エネルギー政策の基本目標

     政府「長期エネルギー需給見通し(案)」はその基本目標について次のように書いている。「エネルギー政策の要諦は、安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、経済効率性の向上(Economic Efficiency)による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に、環境への適合(Environment)を図ることにある(「S+3E」と名付けている)」と。同案は「安定供給」について、「エネルギー自給率の改善は長年にわたる我が国のエネルギー政策の大目標である」と説明している。さらに「環境への適合」とは、「欧米に遜色ない温室効果ガス削減目標を掲げ世界をリードすることに資する」ことであるとしている。
     しかし、すでに検討してみるとこれらの基本目的はすべて虚偽であることが明らかになる。20数年ごとの福島・チェルノブイリ級過酷事故の反復を確率的に前提とした計画が「安全性」を前提しているとは決して言えないはずである。「エネルギーの安定供給」「自給率改善」は、ウランを100%輸入に頼る原発を国産エネルギーと偽ることによる欺瞞的な主張にすぎず、純国産の再生エネルギーを抑制したことによって自立の道は却って閉ざされてしまった。「経済効率の向上」の可能性は、世界で進行する自然エネルギーによる電力技術革命に背を向け、発電コストが高くリスク費用・社会的費用が巨大な老朽原発の再稼働に大きく依存することによって、失われてしまった。「環境への適合」は、原発事故の頻発による大量の放射性物質の放出を前提として見込むことによって頭から否定されている。「温室効果ガスの大幅な削減」の可能性は、自然エネルギーの大規模導入の道に進まなかったことによって、消失してしまった。原発の大規模な再稼働によっては、福島事故以前の状態に戻るだけであって、日本経団連の推計によっても数%から10数%の削減としかならず、26%という政府目標に大きく及ばない。
     では、この電源構成案の実施によってどのような経済的結果が生じるであろうか?

       2.発電設備への過剰投資傾向

     経済面から見ると、経済産業省の電源構成案は、老朽原発の大規模再稼働計画であり、同時に、実際には火力とくに石炭火力への依存であり、その結果は電力部門の深刻な設備過剰ということである。上で見たように、実際には石炭火力が直接的には最も安価であり、石炭火力の集中的な新増設が進んでいる。
     これに関連して、日本経済新聞(2015年5月6日)の報道によれば、東電以外の電気事業者による首都圏向けの火力発電所の新増設計画だけで、金額にして2兆円、1300万kW(原発13基に相当)分があるという(原発を建設とするとすると2兆円ではわずか4基程度しか建設できないであろう、少しテーマが外れるがこの点は触れておくだけにしよう)。日経が掲載している新増設計画は石炭およびガス火力である。
     報道によれば、これだけで東電の現有火力発電能力の3分の1に相当する規模であるという。したがって、経済産業省の電源構成案通りに事態が進めば、柏崎・刈羽原発および福島第2原発の再稼働が行われ、その分がこの火力発電の新増設分(多くは2020年代に稼働予定)に、付け加わることになる。こうして、同記事は、2016年4月の電力自由化後に「供給過剰が懸念される」と書いている。電力供給能力の大規模な過剰状態が顕在化する可能性が高くなっているのである。
     最近石炭火力をめぐって投資を容認したい経産省と、石炭火力投資を止めて原発稼働をさらに進めたい環境省の間で論争が生じているが(日本経済新聞2015年6月23日)、この背景にあるのは原発大規模再稼働によって生じる電力設備過剰である。
     中村稔氏によると(『週刊東洋経済』2015年6月20日号)、2016年4月から始まる電力の自由化に向けて、東電と新電力との間の「激突」が生じているという。東電は、すでに自由化されている大規模需要者向けの「高圧」部門で、2015年3月までの累計で7%(約750万kW、原発7基相当)分の電力需要を失ったという(文献39)。
     片田江康男氏によると(『週刊ダイヤモンド』2015年7月18日号)、他方で、政府とくに環境省は、電力自由化を骨抜きにし原発再稼働を容易に進めようとして、CO2規制の名の下に、石炭火力への投資計画を「全滅」させる方針だと伝えられている。さらに、自由化によってできる「電力卸売市場」に対し、原発による電力を「公益電源」として、販売を半ば強制する方向を検討しているともいわれる(文献43)。政府は、新電力側に「クリーン」や「グリーン」あるいは「きれいな電気」などという宣伝を行うことを禁止した(2015年6月25日)が、これによって政府は原発が「汚い」電気であることを半ば公然と認め、消費者が原発によって発電された「汚い」電気を忌避することに恐怖していることを自己告白したのである。
     いずれにしても、7兆5000億円の巨大市場を何としても再分割しようとしている新電力側がこのような方向に従順に屈服するとも思われず、電力市場をめぐる極度の緊張と危機的状態が、原発の再稼働が本格化するにつれて生じようとしていることは確実である。

       3.世界的な原発産業の経営危機とその日本への反映――技術劣化の危険

     原発産業部門の世界的な危機も深刻化している。
     フランスの原発企業アレバは、2014年通期で6700億円という巨額の赤字を計上(4年連続赤字)、事実上倒産し、国有企業でありながら国家救済された。日本経済新聞は、2015年5月5日、原発事業不振の主要な原因の1つとして、アレバが受注しているフィンランドのオルキルオト原発建設でのトラブルを挙げている。
     杜耕次氏によれば、フランスのオルランド大統領は、原発全面依存(現在約75%)という方針に固執する国有電力公社社長を解任し、再生可能エネルギーの重視とともに、「縮原発」の方向を前に出しているという(文献30)。この背景には、欧州での原発建設の停滞、世界におけるロシア、中国、韓国などとの激烈な競争、原発事業の利潤率の顕著な低下がある。
     一時期は原発輸出受注に沸いていた日本の原発企業も例外ではない。
     三菱重工は、アメリカのサンオノフレ原発での蒸気発生器トラブルで約4000億円もの訴訟請求を抱えている。これは、2012年1月、三菱重工製造の蒸気発生器が、交換して最初の運転サイクル中に、細管が振動によって腐食割れし破断するというトラブルを起こした。重大事故になりかねない深刻な性格の事象であった。三菱重工は、このトラブルを早期に対応して解決することができず、現地の反対運動の力もあって、原発を運用している米電力会社サザン・カリフォルニア・エジソンは、2013年6月、三菱製の蒸気発生器が使われている2基の原発の廃炉を決定した(日本経済新聞同年6月8日の報道および文献31)。
     『週刊ダイヤモンド』は、2013年6月15日号で、当時合併を発表した日立製作所および三菱重工の電力部門について、技術劣化の可能性を警告する記事を掲載している(文献38)。以下は、同誌が掲載している日立製タービンをめぐる主なトラブルの一覧である。原発関連が多数を占めているが、タービンブレードの損傷は、各種配管に穿孔したり、機器に重大な損傷を与え、放射能漏れに繋がる可能性があるので、このことの危険性に注目いただきたい。


    出典:『週刊ダイヤモンド』2013年6月15日号12ページ

     日立・三菱のタービンのトラブルは合併後も続いている。『週刊ダイヤモンド』2015年6月10日号によれば、2015年5月、関西電力姫路第二発電所3号機と5号機において、三菱重工と日立製作所の合弁企業、三菱日立パワーシステムズ製の蒸気タービンが異常振動により緊急停止した(文献32)。同発電所は最新鋭のガスタービン・コンバインドサイクルであり、昨年3月に運転を開始したばかりであった。関電の事故報告書によれば、3号機では2箇所、5号機では9箇所のタービン動翼(ブレード)の破損が確認され、その破片により3号機の復水器配管の多数に損傷箇所が発見された(文献32)。破断したタービンブレードによって生じた復水器細管の損傷は99本(破口9本、穴あき50本、凹み40本)に及んだ(細管総数は8136本)。もしこのトラブルが原発(とくに沸騰水型原発)において生じていたならば、放射性物質の重大な漏出をもたらした可能性がある。
     『週刊ダイヤモンド』誌は、三菱重工ではこれらの他にも「技術トラブルが続出」しており、「業績絶好調の陰で『技術の三菱』が揺らいでいる」「ものづくりの力が弱体化し」「現場が疲弊している」と鋭く警告している(文献33)。
     トラブルという点では、もうひとつの原発メーカー、東芝も例外ではない。東芝は、2015年3月期に史上最高の通期3300億円という営業利益を計上するはずだったが、「不適切会計処理」が発覚して、7月に入ってもまだ決算が確定しないという異常事態が生じている。同社は、総計で1700〜2000億円に上る利益を水増ししたとされる不正会計操作を行ったとして、追及されている(日本経済新聞2015年7月9日など)。
     週刊誌『フライデー』によれば、不正会計操作の中には「国内の原子力発電所関連の工事が含まれているという情報」があり、さらには「国内の原子力発電所関連の事業が大幅減収になっているが、それを補うための粉飾決算まがいの行為があった可能性さえある」と指摘されている(文献34)。『東洋経済』オンラインによると、東芝は、2006年に米ウェスチングハウス社を買収するなど国際的な巨大原発部門を構築したが、米原子力規制委員会(NRC)によるサウス・テキサス原発プロジェクトの認可が遅れていることなどもあって、原発部門はすでに昨年度600億円の損失を計上していた(文献35)。最近では東芝はウェスチングハウスの株式の一部売却も検討していると報道されている(日本経済新聞2015年7月9日)。
     あわせて核燃料サイクルをになう日本原燃、原発による発電事業を行ってきた日本原子力発電など、電力会社出資の特殊会社も、原発が停止し、電力会社の経営状態が悪化するにつれて、経営危機に陥っている。読売新聞は社説で「現状は深刻である」として「政府が責任を持って、資金や経営の課題に対処すべきだ」と書いている(2015年7月12日付)。
     日本経済新聞編集委員の安西巧氏は、「原発事業は商業的には成り立たない」という根本的問題を提起している。「原発ビジネスはセールスからリスク管理に至るまで政治の関与がますます不可欠になりつつある。『いまの原子力は「国家事業」だ。つまり商業的には成り立たない』(2013年10月10日付日本経済新聞朝刊「真相深層」)。米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)のこの指摘は確かに的を射ている。日本政府や原発メーカーの経営者はどう解釈するだろうか」と(文献36)。安西氏が正しく指摘しているように結局、原発問題は集中的には政治問題なのである。
     ただ、安西氏がここで指摘するべきであって指摘しなかったことがある。それは、たとえ「国家事業」としても、原発は、到底経済的に成り立ち得ない重荷であり、国民的経済の衰微にいたる確実な道であるということである。原発と核産業は、それが生み出した放射能が直接に癌を生み出して人体を脅かすように、経済に食い込みその生きた血液を吸い取り経済の活力と富と技術力と労働力の再生産全体を内側から食い尽くして破壊してしまう。いま健康被害は捨象したとしよう。日本の年間の総生産GDPは500兆円程度しかない。しかもこの30年間デフレの影響もあってほとんど成長しておらず、経済的活力は失われ、労働力の再生産条件は劣悪化し、日本の経済力全体が衰微しつつある。


    出典:http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDP&c1=JP&s=&e=

     すでに日本の財政は破綻しているが、日銀の戦時並みの無際限の国債購入によってかろうじて支えられている。その中で財政節度は失われ、教育費などの社会的経費や国民生活に関連する支出は無慈悲に切り捨てながら、将来の増税や国民負担増を前提に、政権に繋がる一部の独占企業に莫大な利益を与えるような財政支出を次々と積み上げている。戦争法案が成立すれば対米協力の形での軍事費負担はさらに増えることになるであろう。
     安倍政権の超金融緩和政策は、大幅円安誘導による輸出企業の一時的な帳簿上の為替評価益と結びついて、上層の巨大企業だけの景気回復をもたらし、株価の急速な上昇をもたらした。だが、好況は経済全体に拡大する前に、株や金融資産さらには都心の土地建物など資産バブル経済に転化しつつあり、すでに株価の極端な乱高下など新たな恐慌の切迫を示唆する現象が生じている。
     問題は、このような日本をめぐる経済状況の中で政府想定どおり福島事故が今後繰り返される場合、いかなる影響を日本経済に及ぼすであろうかということである。すでに引用したように、1回の苛酷事故で失われる社会的損失の合計は、表に出ているだけで10数兆円、実際には100兆円とされる。それがおよそ20年に1回、下手をすると10年ほどに1回、繰り返されたとすると、経済的に何が生じるかは明らかであろう。政府と原発推進勢力は、原発輸出によって発展途上国と世界に、この「経済の癌」を転移し拡大すれば、自分は延命できると考えているかのようである。致命的にならないうちに、この原発と原発推進勢力という社会の癌細胞を切除してしまわないならば、この癌は一民族はもちろん、世界の人類の生存条件を致命的に脅かしてしまうことになるであろう。

       4.総括

     われわれは、この2030年度電源構成案を実行した場合、どのような結果が生じることになるかを、
     ――事故確率と環境面からは、22年ごと(あるいは11年ごと)の苛酷事故の反復として、
     ――経済面からは、福島原発事故の結果生じつつある健康被害・人口急減として、また電力部門の過剰設備による危機として、
     ――技術面からは、世界的に急進展する再生エネルギーを基軸とした電力技術革命からの致命的立ち後れとして、また原発・電力設備企業の経営危機と技術劣化として、
     ――政治軍事面からは、核戦争の脅威と日本の核武装の危険として、原発再稼働と日本の対米従属的軍国主義との一体性として、民主主義の危機として、それぞれ検討してきた。
     結論は、どの面から見ても同案は、自己破滅的・自殺的性格さらには理性的判断を失った狂信的性格をもっているということであった。
     小泉元首相は、鹿児島で講演し、「噴火は想定外に起きる。口永良部島もそうだが、九州は、熊本県の阿蘇山や鹿児島県の桜島もあり、しょっちゅう地震も起きている。日本では、火山がいつ噴火するか分からず、日本は原発をやってはいけない」と述べ、原発の再稼働に反対する考えを重ねて示した。また、小泉氏は将来の電力需要をどのような電源を組み合わせて賄うかを決める、いわゆる「エネルギーミックス」について、経済産業省の最終案で、2030年度時点に原子力発電の比率を「20%から22%」などとしていることを念頭に、「これからも原発の比率を20%にするというのは、再生可能エネルギーの普及を防止し、原発を維持しようと言っているのと同じだ。こんなばかげたことはない」と述べ、批判した(文献37)。
     小泉元首相の電源構成案についての「ばかげたこと」という規定は、その通りであり、再稼働反対という意味では積極的であるが、以上われわれが検討してきた内容を考慮するとまったく甘い評価と考えるほかない。周知の通り、小泉氏的脱原発の論理は、原発の危険性を主には核廃棄物の最終処分場が確保されていない点に求め、原発事故によって放出される大量の放射性物質がもたらす住民の被曝の危険性を避けているなどの弱点をもっている。だが「甘い」という点は、これらの弱点をいまは置いておくとしても言える。なぜ最低でも「福島事故のような重大事故を全国どこかで繰り返す危険がある」とストレートに言わないのだろうか。ここに、小泉氏的な、支配層側からの脱原発傾向の決定的な限界もまた見えているというほかない(文献45)。
     重要な点は、いまや脱原発と自然エネルギーへの転換が、現在の社会的生産力の要求であることである。そのような生産力の要求に応えることのできない現在の政権と政治構造、官僚制、大企業と大銀行、財界、原発推進勢力の支配は、生産力の発展にとっての越えがたい桎梏となっているということである。われわれは、結局のところ、生産力の要求が貫徹し、桎梏は打ち砕かれるにちがいないと確信する。どのような形でそれが実現されるかはいまは言うことができないが、実現されるほかないことだけは確実である。
     最後に、そのためには、安倍政権の打倒とともに、われわれが前著『原発問題の争点』(文献19)においてすでに論じたように、電力独占とくに送電網と原発関連巨大企業の民主的懲罰的国有化に向かって進んでいくことが必要となることを、最後に付言しておきたい。
    (事態は極めて流動的であり、大きく変化する可能性があるので、2015年7月17日までの情報に基づく論考であることを記しておきたい)。


      参考文献

    1.総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会「長期エネルギー需給見通し 骨子(案)」2015年4月
    http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/008/pdf/008_07.pdf
    2.総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会「長期エネルギー需給見通し 骨子(案)関連資料」2015年4月
    http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/008/pdf/008_08.pdf
    3.総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会 発電コストワーキンググループ「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する 発電コスト等の検証に関する報告(案)」2015年4月
    http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/006/pdf/006_05.pdf
    4.原子力委員会(当時)「核燃料サイクルコスト、事故リスクコストの試算について(見解)」2011年11月10日
    http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/kettei/seimei/111110.pdf
    5.内閣府原子力政策担当室(当時)「原子力発電所の事故リスクコストの試算 原子力発電・核燃料サイクル技術等検証小委員会(第3回)」2011年10月25日
    http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/hatukaku/siryo/siryo3/siryo3.pdf
    6.坂根正弘(コマツ相談役、総合資源エネルギー調査会会長)「100年先の資源枯渇見越して」『日本経済新聞』2015年5月21日、同「化石燃料なき後に備えよ!」『中央公論』中央公論新社2015年7月号
    7.日本経済団体連合会「新たなエネルギーミックスの策定に向けて2015」2015年4月6日
    https://www.keidanren.or.jp/policy/2015/032_honbun.pdf
    8.日本経済団体連合会「新たなエネルギーミックスの策定に向けて(概要)」2015年4月6日
    https://www.keidanren.or.jp/policy/2015/032_gaiyo.pdf
    9.葛西敬之JR東海会長(当時)「国益に背く『原発ゼロ』」読売新聞2012年9月10日
    10.吉岡斉「経済産業省案『原発比率20〜22%』は非現実的だ どうする電源構成(3)」『東洋経済』オンライン
    http://toyokeizai.net/articles/-/68379
    11.橘川武郎「『原発回帰』を宣言した政府 原子力の可能性は逆に閉ざされる」『週刊エコノミスト』2015年6月16日号
    12.「政府の電源構成案に指摘 IEAが『再生エネもっと導入できる』」JCASTニュース 2015年5月10日 
    http://www.j-cast.com/2015/05/10234729.html?p=all
    13.磯山 友幸「安倍内閣、原発依存度『実質引き上げ』の真意 『増設』『リプレイス』はなし崩しに進むのか」日経ビジネスオンライン  2015年6月5日 
    http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150604/283891/?P=3
    14.国際エネルギー機関(IEA)『電力の変革 風力、太陽光、そして柔軟性のある電力系統の経済的価値』新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による邦訳がある
    http://www.nedo.go.jp/content/100643823.pdf
    15.読売新聞はすでに80年間への原発運転延長を示唆している(「40年で廃炉、薄い根拠」より)2012年3月12日付
    16.滝順一 日本経済新聞編集委員「原発、津波軽視の教訓 『まさか』への備えはあるか」日本経済新聞2015年6月1日付
    17.「集団自殺願望」という言葉は、精神科医の久邇晃子氏が福島事故後に原発をなお推進しようとする政府や財界の傾向を特徴づけた表現で、まったく適切な規定である。久邇晃子「愚かで痛ましい我が祖国へ」『文藝春秋』2011年12月号
    18.国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」
    http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/gh2401.pdf
    19.大和田幸嗣、橋本真佐男、山田耕作、渡辺悦司『原発問題の争点』緑風出版(2012年)第4章「マルクス主義経済学からの原発批判」
    20.安田陽「時代遅れの『ベースロード電源』 世界はもっと柔軟な系統運用」『週刊エコノミスト』2015年7月7日号
    21.Martin LaMonica; Batteries: Cheapest Method to Stabilize Power Grid?
    MIT Technology Review April 12, 2013
    http://www.technologyreview.com/view/513651/batteries-cheapest-form-of-grid-power/
    22.Duke Energy Renewables completes Notrees Battery Storage Project in Texas; North America's largest battery storage project at a wind farm January 23, 2013
    http://www.duke-energy.com/news/releases/2013012301.asp
    23.畑陽一郎「スペインに学ぶ『3条件』、再生エネの比率を5割以上に」2014年6月20日 スマート・ジャパンのウェッブ・ページにある
    http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1406/20/news038.html
    24.国際エネルギー機関(IEA)『電力の変革 風力、太陽光、そして柔軟性のある電力系統の経済的価値』新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による邦訳がある
    http://www.nedo.go.jp/content/100643823.pdf
    25.「集合型風力発電所」Wikipedia
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%86%E5%90%88%E5%9E%8B%E9%A2%A8%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
    26.Junko Movellan「世界最大747MWのメガソーラーが米国で稼働、『2020年33%』達成へ」『日経テクノロジー』2015年7月2日
    http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20150630/425664/?ST=pv&P=1
    27.『ダイヤモンド』インターネット版 2013年1月25日 西川敦子氏 (フリーライター)の西村吉雄・元早稲田大学政治経済学術院客員教授へのインタビュー「核兵器数千発分のプルトニウムがゴミと化す!? 原発大国ニッポンが『廃炉大国』になる日」
    http://diamond.jp/articles/-/31026
    28.東京電力「平成27年3月期決算短信」
    http://www.tepco.co.jp/ir/tool/kessan/pdf/1503q4tanshin-j.pdf
    29.大林ミカ「『ベースロード』をめぐる誤解 2030年、日本の電源構成をどう考えるか」『科学』2015年6月号
    30.杜耕次「揺らぎ始めた『原発大国フランス』」2015年1月7日 新潮社フォーサイト
    http://www.fsight.jp/31967
    31.U.S.NRC; Review of Lessons Learned from the San Onofre Steam Generator Tube Degradation Event: 2015 March 6.
    http://pbadupws.nrc.gov/docs/ML1501/ML15015A419.pdf
    32.関西電力「姫路第二発電所 蒸気タービンの不具合に伴う応急対策工事の実施について」2015年6月10日
    http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2015/0610_1j.html
    同添付資料1「姫路第二発電所3、5号機点検結果 主な損傷状況」
    http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2015/__icsFiles/afieldfile/2015/06/10/0610_1j_01_2.pdf
    33.浅島亮子「宮永流"省エネ"経営の功罪」『週刊ダイヤモンド』2015年7月4日号
    34.「天下の東芝が『そこまでやるか』の下請けいじめ」『フライデー』2015年6月12日号
    35.富田頌子「誤算が続く東芝の原子力事業は立ち直れるか 米国の原発新設案件が前進せず損失を計上」『東洋経済』オンライン 2014年05月09日
    http://toyokeizai.net/articles/-/37274
    36.安西巧「トルコへ原発輸出、三菱重に影落とす巨額賠償問題」2013年11月11日 日本経済新聞インターネット版
    http://www.nikkei.com/article/DGXZZO62265460X01C13A1000000/?df=4
    37.NHKニュースインターネット版 「小泉氏『噴火は想定外に発生』原発再稼働反対」 2015年6月4日 20時18分
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150604/k10010103351000.html
    (2015年6月5日閲覧)
    38.鈴木崇久「三菱重工との事業統合に水を差す日立の火力部隊が掲げた"白旗"」『週刊ダイヤモンド』2013年6月15日号
    39.中村稔「全面自由化で激突 東電vs新電力の攻防」『週刊東洋経済』2015年6月20日号
    40.池上彰『知らないと恥をかく世界の大問題4 日本が対峙する大国の思惑』角川マガジンズ(2013年)
    41.Arnie Gundersen; Forty Good Years And One Very Bad Day; Oct. 8, 2013
    http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education/fukushima-daiichi-nuclear-accident-ongoing-lessons
    42.「2030年の『電力ベストのミックス』 国民の選択」『週刊ポスト』2015年5月29日号146〜147ページ
    43.片田江康男「電力小売り自由化最前線」『週刊ダイヤモンド』2015年7月18日号
    44.宗敦司「問題案件を抱え込む 安倍政権、原発輸出の矛盾」『週刊エコノミスト』2013年6月22日号
    45.渡辺悦司「戦時下の資本蓄積と『物資動員計画』」『経済学雑誌』日本評論社1976年8月号
    46.小泉純一郎氏の講演は以下のYouTubeサイトで映像を見ることができる。
    https://www.youtube.com/watch?v=RZColIQKvH8
    47.フリードリッヒ・エンゲルス「パリの国際祝日の組織委員会あての手紙」「ジーギスムント・ボルクハイムの小冊子『ドイツの狂熱的愛国者たちを回想して.1806−1807年』への序文」大月書店刊『マルクス・エンゲルス全集』第21巻所収
    48.福好昌治「徹底解読:日米ガイドライン 『日米同盟グローバル化』思惑に微妙な相違 敵は中国!対中抑止にアメリカを巻き込め!」『軍事研究』2015年8月号ジャパン・ミリタリー・レビュー
    49.「メガソーラー反対のうねり 自然壊すな巨大資本」東京新聞2015年7月21日付
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